国際テロ情報収集ユニット

国際テロ情報収集ユニットについて

国際テロ情報収集ユニットは、外務省総合外交政策局に設置された情報機関です。2015年12月8日に発足し、国際テロ情報の収集と分析を専門としています。このユニットは、日本におけるテロ対策の中核を担う組織の一つとして、重要な役割を果たしています。

概要

国際テロ情報収集ユニットは、国際テロ情報の収集と集約体制を強化するために設立されました。このユニットは、「国際テロ情報収集・集約幹事会」や「国際テロ情報集約室」と連携して活動しており、テロ対策における情報収集と分析の中核を担っています。

人員は約90名で構成され、警察庁、外務省、内閣情報調査室、公安調査庁、海上保安庁、出入国在留管理庁、防衛省など、様々な省庁から専門家が集められています。特に、国際テロ情勢、現地情勢、語学に精通した人材が配置されており、東南アジア、南アジア、中東、北・西アフリカの4地域を担当しています。

ユニットの活動拠点は、外務省本部に約50名強、在外公館に約40名弱が勤務しています。本部では、地域班、総務班、IT班に分かれて業務を行っています。

初代ユニット長には、警察庁出身の瀧澤裕昭内閣審議官が就任しました。各地域を担当するヘッドには、審議官級のキャリア官僚が配置されています。

このユニットは外務省の組織ではありますが、首相官邸直轄の組織として、政府全体のテロ対策に深く関与しています。

設立までの経緯

2016年の伊勢志摩サミットや2020年の東京オリンピック・パラリンピックなどの国際的なイベントを控え、日本国内でのテロ対策強化が急務となりました。そのため、政府主導でテロ対策を強化する一環として、2015年5月29日に国際テロ情報収集ユニットの設立が決定され、外務省内に準備室が設けられました。

当初は2016年4月を目途に設立が予定されていましたが、2015年11月に発生したパリ同時多発テロ事件を受け、安倍晋三首相がテロ対策強化を指示し、組織の設立が前倒しされました。そして、2015年12月8日に正式に発足しました。

設立にあたっては、外務省と警察庁の間で組織の主導権争いがありましたが、最終的には、北村滋内閣情報官が主導権を握り、警察庁出身の瀧澤裕昭氏がユニット長に就任しました。この主導権争いは、外務省内に大きな不満を生んだと報道されています。

当初、ユニットは外務省大臣官房内に設置される予定でしたが、安倍首相の意向により総合外交政策局に設置されることになりました。この決定には、外務省内部から国際情報統括官組織との役割分担の不明確さや、組織の有効性に対する疑問の声も上がっていました。

設立後

2016年7月のダッカ襲撃テロ事件を契機に、国際テロ情報収集ユニットの規模は拡大され、人員は在外公館の担当者を含め約80名程度まで増強されました。

また、2017年12月には、2020年東京オリンピック・パラリンピックを見据えたテロ対策推進要綱において、ユニットの活動を拡大・強化することが決定されました。これにより、より核心に迫る情報収集が可能となるよう、体制が強化されました。

さらに、2015年にシリアで行方不明となったフリージャーナリスト安田純平氏の解放にも、国際テロ情報収集ユニットが関与していたとされています。

将来的には、イギリスの秘密情報部（MI6）のような組織を目指しているとの見方もあります。

関連情報

警察庁警備局国際テロリズム対策課
国際テロ情報収集・集約幹事会
国際テロ情報集約室
ダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件

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