国際リゾート短期大学校

国際リゾート短期大学校について

国際リゾート短期大学校は、かつて三重県度会郡二見町（現在の伊勢市）に存在した職業能力開発短期大学校です。通称は「リゾート短大」と呼ばれていました。この学校は、サービス業における専門的な人材を育成することを目的に、職業訓練法人三重県サービス技能協会によって設立されました。

概要

リゾート短大は、ホテルやレストランなどのサービス業で求められる知識や技能を習得するための施設として、職業能力開発短期大学校の形態をとった日本で最初の事例でした。設立当初は、サービス業界における人材不足という背景もあり、業界内でも先進的な取り組みとして注目を集めました。

しかし、入校資格が運営団体である三重県サービス技能協会の加盟企業の従業員に限定されていたことが、その後の運営に大きな影響を与えました。バブル崩壊後の不況の影響で、加盟企業が新入社員の採用を抑制したため、入学希望者が減少し、開校からわずか7年で閉校という結果になりました。

授業は、座学だけでなく、実務を重視した内容で構成されていました。そのため、校舎自体もリゾートホテルを模した外観と内装になっており、学生は実践的な環境で学ぶことができました。建設費や備品購入費、運営費には、国や三重県から多額の補助金が投入されましたが、閉校時に一部返還が求められたものの、運営母体の解散とともに未返還のままとなっています。

歴史

1990年代初頭、バブル景気の中、日本では人材確保が重要な課題となっていました。特に、三重県では「三重サンベルトゾーン」の指定を受け、リゾート開発に伴うサービス業の人材育成が求められていました。このような背景から、三重県サービス技能協会は、1991年4月に国際リゾート短期大学校を開校しました。

開校当初は、三重県や二見町からも大きな期待が寄せられていました。しかし、バブル崩壊後の景気悪化により、加盟企業が採用を抑制したことで学生数が減少。1997年には学生募集を停止し、1998年3月に最後の卒業生を送り出した後、事実上の閉校となりました。

その後、三重県は補助金の返還を求めましたが、運営団体は破産手続きを開始し、校舎の売却を試みました。しかし、買い手は見つからず、最終的には土地賃料の滞納問題から伊勢市との間で訴訟に発展。最終的に、校舎は伊勢市立郷土資料館の資料収蔵庫として利用されることになりました。

訓練内容

リゾート短大では、ホテルマンや調理師を養成するため、接客・販売に関する専門知識や技能を学ぶことができました。実技指導のほか、接客心理学、観光論、食品学、実用英語など、幅広い分野の授業が行われていました。また、OA機器の操作もカリキュラムに取り入れられていました。

授業は2年制の専門課程で、1年目は基礎訓練、2年目は専門訓練が行われました。週4日の授業で、年間1,000時間という時間数が確保されていました。授業料は、当初は所属企業が負担するとされていましたが、実際には一部自己負担が必要でした。

学生

学生は、三重県サービス技能協会の加盟企業の社員であり、昼間は学校で学び、早朝や夜間は所属企業で働くという生活を送っていました。開校当初は、入校希望の問い合わせもあったものの、入校資格が協会の加盟企業の従業員に限定されていたため、常に定員割れの状態でした。最も多かった開校年でも32人、最も少なかった年では15人しか学生がいませんでした。結果として、開校から閉校までに143人が入学し、89人が卒業しました。

校舎

校舎は、リゾートホテルを模した外観で、内部もホテルを意識した造りになっていました。ロビー、フロント、レストラン、和洋室の教室、英会話教室、結婚披露宴会場などが設置されていました。総工費は約6億4200万円、備品購入費に1億1300万円が費やされており、国や三重県からの補助金も活用されていました。

運営者

運営は、職業訓練法人三重県サービス技能協会が行っていました。同協会は、三重県内のホテルや旅館、観光業者などで構成されており、設立当初は30社以上の加盟企業がありました。しかし、閉校時には14社に減少していました。協会は、多額の負債を抱え破産手続きに入り、最終的に解散しました。

まとめ

国際リゾート短期大学校は、サービス業の人材育成を目指した先進的な取り組みでしたが、バブル崩壊後の不況の影響を受け、短期間で閉校となりました。しかし、そのユニークな教育方針やリゾートホテルを模した校舎は、今もなお人々の記憶に残っています。

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