国際子ども図書館

国際子ども図書館について

国際子ども図書館は、児童書を専門に扱う国立国会図書館の支部図書館として、2000年に開館しました。日本における児童書関連の図書館サービスの中枢拠点として、国内外の児童書や関連文献の収集、保存、提供を行っています。施設は東京都台東区の上野公園内に位置し、1906年築の旧帝国図書館の建物を活用しています。

歴史

国際子ども図書館のルーツは、1897年に創立された帝国図書館に遡ります。現在の建物は、1906年に上野公園内に建設された帝国図書館の施設を継承しています。帝国図書館は1949年に国立国会図書館と統合され、国立国会図書館支部上野図書館として運営されていましたが、1961年に蔵書の大半が東京本館に移されました。その後、1980年代に東京本館の施設の限界が問題となり、関西館の設立が決定されるとともに、上野図書館の役割が見直されることになりました。

一方、同時期には子どもの読書離れが深刻化し、国立の児童書専門図書館設立を求める声が高まりました。これらの背景から、上野図書館の施設は児童書のナショナルセンターとして再活用されることとなり、1999年に国立国会図書館法が改正され、国際子ども図書館の設置が法的に定められました。2000年には一部開館、2002年に全面開館し、児童書の保存・閲覧、研究文献の提供、展示会などのサービスを開始しました。2015年には中庭側にアーチ棟が新設され、既存の建物はレンガ棟と呼ばれるようになりました。

2020年には、新型コロナウイルス感染症の流行により一時休館しましたが、その後、段階的にサービスを再開し、現在では通常通りの運営が行われています。

施設

国際子ども図書館のレンガ棟は、旧帝国図書館として建設されたルネサンス様式の洋風建築です。設計は久留正道が担当しました。1906年に第一期工事が完了し、1929年に第二期増築が行われました。構造は、第一期が鉄骨補強煉瓦造り、第二期が増築部分が鉄筋コンクリート造りです。1999年には東京都選定歴史的建造物に選定されています。

図書館への転用にあたっては、安藤忠雄建築研究所と日建設計が設計、鴻池組が改修を担当しました。改修にあたり、歴史的建造物の保存と再生、現代の施設としての活用が両立するように配慮されました。外装や内装はできる限り旧態を保ちつつ、徹底的な補修・復元が行われました。また、空調設備や照明ケーブルなどは、床下の空間に配置することで、歴史的な建築物を傷つけないように工夫されています。

公道側とは反対の西側にはガラスのカーテンウォールが増築され、旧建造物では狭かった階段や回廊を補うために、ラウンジやエレベーターなどの近代設備が追加されました。東西を貫く形で一階建てのガラスボックスが設けられ、東側にエントランス、西側にカフェテリアが新設されました。これらの改修は高く評価され、第45回BCS賞、第15回BELCA賞を受賞しています。

サービス

国際子ども図書館は、年齢制限なく誰でも入館できます。レンガ棟1階には、旧貴賓室を改修した「子どものへや」、「おはなしのへや」、「世界を知るへや」があり、子供たちが自由に児童書を読むことができます。最も豪華な旧貴賓室を子供のために開放しているのは、当図書館が子供のための図書館であることを示しています。

レンガ棟3階の旧大閲覧室は「本のミュージアム」として、児童書に関する展示会が定期的に開催されています。同じく3階には大ホールがあり、講演会や演奏会などのイベントにも利用されています。

中庭側のアーチ棟2階には「児童書研究資料室」があり、国内外の児童書や関連資料が利用できます。ただし、研究利用を目的としているため、18歳以上に限定されています。

非来館型のサービスとしては、児童書の図書館間貸出や、学校図書館向けの資料セット貸出を行っています。また、児童書を多く所蔵する他の図書館と連携し、総合目録データベースも作成しています。さらに、ウェブサイトでは電子図書館サービスも提供しており、大正時代の児童雑誌『コドモノクニ』の挿絵などを公開しています。

国際子ども図書館は、児童書を通じて、子供たちの豊かな心を育むとともに、児童書研究の発展に貢献する施設として、その役割を果たしています。

外部リンク

国際子ども図書館
国際子ども図書館を考える全国連絡会

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