国際学術会議

国際学術会議（International Science Council、略称ISC）は、世界の学術界を代表する国際機関として、2018年7月に新たな歩みを始めました。これは、長年にわたり自然科学分野を牽引してきた国際科学会議（ICSU）と、社会科学分野で活動してきた国際社会科学協議会（ISSC）が統合された結果です。ISCは、これまでの学術の枠を超え、自然科学と社会科学の両分野を包含する唯一の非営利国際組織として設立されました。

設立の背景と目的

統合前のICSUとISSCは、それぞれ半世紀以上にわたる歴史を持ち、各分野で重要な役割を果たしてきました。しかし、近年、地球温暖化、貧困、パンデミックなど、私たちの社会が直面する課題はますます複雑化し、単一の学問分野だけでは解決が困難になっています。このような状況を踏まえ、自然科学と社会科学の知見を統合し、分野間の壁を越えた協力を促進することが不可欠であるという認識が高まりました。ISCの設立は、まさにこの課題に対応するためのものです。異なる学問分野の専門知識を結集することで、より包括的で効果的な問題解決策を生み出すことを目指しています。学術研究の成果を政策決定や社会貢献へと繋げるための橋渡し役となることも、重要な目的の一つです。

組織の性質と役割

ISCは、多様な学術組織と個々の研究者をつなぐグローバルなプラットフォームとして機能します。その活動は、科学研究の国際的な協力を推進し、科学が社会に与える影響に関する議論を主導することに重点が置かれています。ISCは、世界中の約40の国際的な学術団体や、およそ140の国・地域の学術機関・アカデミーをメンバーとして擁しています。これらのメンバーは、ISCの活動を支え、その方向性を決定する上で中心的な役割を果たします。

組織構造

組織の本部事務局は、統合前の両組織と同様、フランスの首都パリに置かれています。また、世界各地域の特定のニーズに対応するため、以下の地域に事務局が設置されています。

南アフリカ（アフリカ地域担当）
エルサルバドル（ラテンアメリカおよびカリブ地域担当）
マレーシア（アジア・太平洋地域担当）

組織運営においては、理事会が重要な意思決定を行い、ケープタウン大学出身のダヤ・レディ氏が初代理事会会長に選出されました。日々の業務執行は、CEO（最高経営責任者）のハイデ・ハックマン氏が担っています。

加盟組織

ISCへの加盟は、合併前のICSUおよびISSCの加盟団体を引き継ぐ形で始まりました。その後、新たな加盟も加わり、2019年時点では、様々な形態の学術組織が参加しています。具体的には、

メンバー組織（各国の学術組織）：135団体
学術団体・連合（国際的な学術団体）：40団体
関連メンバー：30団体

が加盟リストに名を連ねています。これらの多様なメンバー構成は、ISCがカバーする学術分野の幅広さと、その国際的な影響力を示しています。

結び

国際学術会議は、複雑化する現代社会の課題に対し、自然科学と社会科学の知を結集して立ち向かうための画期的な取り組みです。グローバルな学術連携の強化を通じて、持続可能な未来の実現に向けた科学の貢献を目指しています。

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