国際演劇協会

国際演劇協会 (ITI)

国際演劇協会（International Theatre Institute、略称：ITI）は、1948年にユネスコの支援の下、演劇やダンスの専門家たちが中心となって設立された、世界で最も大きな規模を持つ舞台芸術分野の国際機関です。本部はフランスのパリに置かれています。

設立理念と目的

ITIは、ユネスコ憲章に掲げられる「相互理解と平和」の理念を根幹に据え、舞台芸術という表現媒体を通じてこれらの目標達成に貢献することを目指しています。特に、年齢や性別、信条、民族といったあらゆる差異を超え、多様な文化的表現が保護され、発展していく環境づくりを提唱しています。自由な芸術表現を擁護し、舞台芸術に携わる専門家たちの権利を守ることも、重要な活動目的の一つです。

主な活動内容と目標

ITIは、設立以来、国際的な視野に立った多岐にわたる活動を展開しています。その中心には、芸術教育の振興、国際的な芸術交流と協力関係の構築、そして次世代を担う青少年アーティストの育成があります。

具体的な活動目標としては、以下のようなものが挙げられます。

演劇、ダンス、音楽劇場といったライブ・パフォーミング・アート全般における創造活動を奨励し、支援すること。
国内外の舞台芸術に携わる個人、団体、組織間の連携を強化し、新たな協力関係を築くこと。
グローバルな活動を推進するため、国際オフィスの運営や、各国の中心となるべきITIセンター設立を促進すること。
舞台芸術に関するあらゆる資料や情報を収集・整理し、出版物やデジタル媒体を通じて広く発信すること。
* 国際的な演劇フェスティバルである「シアター・オブ・ネイションズ」のような大規模イベントの開発に協力するとともに、各国のITIセンターや会員組織と連携して、地域や国際レベルでの会議、ワークショップ、専門家会合、コンクールなどの開催を支援・調整すること。

毎年、ITIはパリのユネスコ本部で「国際ダンスデー」（4月29日）と「世界演劇の日」（3月27日）を主催し、舞台芸術の重要性を世界にアピールする活動を行っています。

組織構造

国際演劇協会は、現在、世界各地に設立された約92のナショナルセンターのネットワークによって構成されています。各ナショナルセンターは、それぞれの国における演劇、ダンス、その他の舞台芸術分野で活躍する専門家たちの代表者によって運営されており、国内および国際的なITIの活動を推進する役割を担っています。

また、ITIは特定の分野に特化した活動を行うために、いくつかの専門委員会を設置しています。例えば、舞台芸術のメディアコミュニケーションに関する研究を行うコミュニケーション委員会（ComCom）、モノドラマに特化した国際モノドラマフォーラム（IMF）、ダンスに特化した国際ダンス委員会（IDC）などがあり、それぞれが専門性を活かした活動を展開しています。

日本センター

公益社団法人 国際演劇協会（ITI/UNESCO）日本センターは、ITIの重要なナショナルセンターの一つです。その本部は、東京都渋谷区にある国立能楽堂内に置かれています。

日本センターは、ITIが設立されて間もない1951年5月に創立されました。当初は日本演劇協会の一部門としての位置づけでしたが、1985年4月には独立した組織となり、劇作家である内村直也氏が初代会長に就任しました。現在は永井多恵子氏が会長を務めています。日本センターもまた、ITI全体の目標に基づき、国内の舞台芸術の振興、国際交流の促進、情報の提供、若手育成など、幅広い活動を行っています。

国際演劇協会は、その広範なネットワークと多様な活動を通じて、世界の舞台芸術の発展と、文化を通じた平和な社会の実現に貢献し続けています。

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