国際獣疫事務局
国際獣疫事務局（WOAH）
概要
国際獣疫事務局（WOAH）は、動物の疾病管理や検疫基準の設定を行う国際機関であり、1924年に設立されました。日本は1930年に正式に加盟し、現在では182カ国が参加しています。最初はOIEという略称で知られていましたが、2022年からWOAHに変更され、国際動物保健セクターでの重要な役割を担っています。
設立の背景
WOAHは、1920年にベルギーで牛疫が広まり、その影響が国際的に問題視されたことから設立されました。最初の国際会議は1921年にパリで開催され、設立合意書が1924年に署名されました。これは、動物疾病が国を超える問題であることを認識させる契機となりました。
目的
WOAHは以下のような目的を持っています：
1. 動物疾病に関する情報提供：世界中の動物疾病の発生状況に関する最新情報を加盟国に提供し、危機管理に役立てています。
2. 獣医学的情報の収集と普及：獣医学的知識を集め、各国に展開します。
3. 技術的支援と助言：加盟国が動物疾病を制圧し、根絶に向けた取り組みを進められるように支援します。
4. 衛生基準の策定：動物や動物由来製品の貿易を促進するための衛生基準を設定します。
5. 法制度と人的資源の向上：各国の獣医組織の法制度や人的資源を発展させます。
6. 食品安全性とアニマルウェルフェアの向上：動物由来の食品の安全性を確保し、科学に基づくアニマルウェルフェアを向上させます。
取り扱う動物
WOAHの活動対象となる動物の範囲は広く、哺乳類や鳥類のほか、魚類や昆虫、さらには2008年から両生類、2016年から爬虫類も含まれています。これにより、様々な種の疾病を包括的に管理しています。
本部と地域事務所
本部はフランスのパリに所在し、地域ごとの事務所も設置されています。主な地域事務所は以下の通りです：
これらの事務所は、各地域の特性に応じた活動を推進しています。
世界的な影響
WOAHは、国際的な家畜の安全基準や衛生基準を定め、各国が適切な対策を講じられるように助言しています。たとえば、BSEに関する「準安全国」の認定など、具体的な措置を通じて動物産業の健全な発展に寄与しています。
総会の開催
WOAHは毎年5月にパリで加盟国の政府代表が集まる総会を開催しており、各国の獣医制度の向上や動物疾病の最新情報について議論が行われます。これにより、国際的な連携が強化され、動物保健の向上につながっています。
WOAHは、動物疾病の予防と制圧を通じて、公共の健康や食料安全保障に寄与する重要な機関であり、今後の活動にも期待が寄せられています。
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