国際生活機能分類

国際生活機能分類（ICF）とは

国際生活機能分類（ICF：International Classification of Functioning, Disability and Health）は、世界保健機関（WHO）が2001年に採択した、人々の健康状態、心身機能、障害に関する分類法です。従来の国際障害分類（ICIDH）を改訂したもので、障害を単なる医学的な問題としてではなく、生活における機能障害として捉える点が特徴です。

ICFの目的

ICFの主な目的は、以下の3点です。

当事者の視点：障害を持つ当事者の視点から、生活の全体像を包括的かつ中立的に記述すること。
相互作用の理解：健康状態、心身機能、活動、参加、環境因子、個人因子が相互に影響し合う関係性を理解すること。
共通言語：医療、福祉、教育など、様々な分野の専門家が共通の言語で情報を共有し、連携を深めること。

ICFの構成要素

ICFは、以下の5つの要素で構成されています。

1. 健康状態：病気や怪我などの医学的な状態。
2. 心身機能・身体構造：身体の各器官や組織の働き、構造。
3. 活動：日常生活における個人の活動、作業遂行能力。
4. 参加：社会生活や地域活動への参加状況。
5. 環境因子：物理的な環境や社会的な環境、人々の態度や文化など、個人を取り巻く環境要素。
6. 個人因子：年齢、性別、性格、ライフスタイルなど、個人の特性。

これらの要素は、相互に影響し合いながら、人々の生活機能に影響を与えます。ICFでは、これらの要素を独立して分析すると同時に、相互の関係性を理解することを重視しています。

ICFの特徴

ICFは、従来の障害分類と比較して、以下のような特徴があります。

中立的な記述：身体機能の状態を重視することで、障害を中立的に記述することが可能。
包括的な評価：医学的な診断だけでなく、社会的な側面や環境的な側面も考慮に入れた包括的な評価が可能。
普遍的な適用：障害の有無に関わらず、全ての人々の健康状態を評価することが可能。
多分野での活用：医療、福祉、教育、労働など、幅広い分野で活用可能。

ICDとの関係

ICFは、同じくWHOが作成した「疾病及び関連保健問題の国際統計分類（ICD）」と密接な関係にあります。ICDは、病気や怪我の診断を分類するものであり、ICFは、その診断によって生じる生活機能の状態を分類するものです。ICFは、ICDでは扱われていなかった身体機能や構造の評価を可能にすることで、人々の健康状態をより包括的に把握することを目的としています。

その他の関連情報

ICF-CY: ICFの小児青少年版として、2007年に「ICF-CY（International Classification of Functioning, Disability and Health - Children and Youth Version）」が発行されました。
WHO国際分類ファミリー: ICFは、WHOが作成する国際分類ファミリーの一員です。

外部リンク

International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF) - WHO
International Classification of Functioning, Disability and Health (ICF) - CDC
ICF case studies: Implementation of ICF in rehabilitation management
The Italian Portal of Classifications is the ICF and ICF-CY browsing tool of the Italian Collaborating Centre of the World Health Organization for the Family of International Classifications
「国際生活機能分類－国際障害分類改訂版－」（日本語版）
* 生活機能分類の活用に向けて（案） - ICF（国際生活機能分類）：活動と参加の評価点基準（暫定案） 厚生労働省大臣官房統計情報部



ICFは、人々の生活機能に関する包括的な視点を提供し、医療、福祉、教育など、様々な分野での連携を促進する上で重要な役割を果たしています。

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