国際超電導産業技術研究センター

国際超電導産業技術研究センターの概要

国際超電導産業技術研究センター（ISTEC）は、超伝導技術の実用化を目的として1988年に創設された日本の公益財団法人です。神奈川県川崎市のかながわサイエンスパーク及び、横浜市の超電導工学研究所日吉研究所を中心に活動を行っていました。ISTECは、超伝導技術の研究開発およびその実用化において、国内外において重要な役割を果たしてきましたが、2016年に解散し、その機能は他の機関に引き継がれました。

設立の背景と経過

超伝導技術は、電気抵抗がゼロという特性を有し、エネルギー効率の向上や新しい電子機器の実現に貢献する可能性があります。ISTECは、この技術を活用して産業界や学術界における応用研究を進めてきました。特に、超伝導の実用化を目指す中で、2015年までは国際超電導シンポジウムを主催し、国内外の研究者や企業と情報交換を行い、知識の共有を促進していました。しかし、主要会員である電力会社の厳しい経営状況が影響し、2016年6月に解散に追い込まれました。国際超電導シンポジウムは、日本における超伝導技術の国際的な発信の場でもあったため、その終了は大きな影響を及ぼしました。

解散に際して、ISTECの主要な機能は産業技術総合研究所や超電導センシング技術研究組合（SUSTERA）、日本電線工業会に移管され、超伝導技術の発展は新たな形で継続されています。特にSUSTERAの設立は、超伝導技術研究の重要な中継地点となっています。

研究活動

ISTECでは、超伝導の実用化に向けた多岐にわたる研究開発が行われました。名古屋研究所では、Y系高温超電導薄膜の実用化を目指した研究が進められましたが、実験は成功には至りませんでした。また、名古屋研究所での研究補佐には、修士課程や博士課程の学生が無給で深夜まで働くという厳しい環境も存在したことが指摘されています。

ISTECの下部組織である超電導工学研究所では、超伝導量子干渉素子（SQUID）の研究が進められ、超伝導技術の新しい応用可能性を探る重要な役割を果たしていました。SQUIDは、非常に微弱な磁場を測定する能力を有し、医療分野や地球科学などにおいて活用されています。

沿革と現在の状況

ISTECの歴史は1988年にさかのぼります。設立当初は財団法人として活動を開始し、2012年には公益財団法人に移行しました。2013年には本所を川崎市のかながわサイエンスパークに移転し、研究体制の充実を図りました。2016年までに超電導技術に関連する数々の成果を上げてきましたが、その後は超電導センシング技術研究組合に機能が移り、研究の新しい局面を迎えました。

ISTECの活動は、超伝導技術を通じて日本の技術力を世界のトップレベルに引き上げる重要な役割を果たしてきました。今後もこれらの技術がさらに発展し、私たちの暮らしに役立つことが期待されています。

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