国際連合安全保障理事会決議1244

国際連合安全保障理事会決議1244とは

国際連合安全保障理事会決議1244（UNSCR1244）は、1999年6月10日に国際連合安全保障理事会で採択された、コソボ情勢に関する決議です。この決議は、当時のユーゴスラビア連邦に属していたコソボにおける紛争を解決し、同地域における民政および軍事部門の国際的な活動を定めることを目的としています。クマノヴォ条約において、紛争当事者の両陣営もこの決議を承認しました。決議は賛成14票、中国の棄権により採択されました。

決議1244の主な内容

決議1244は、コソボの将来を決定づける重要な内容を含んでいます。

国連による暫定統治: 国際連合コソボ暫定行政ミッション（UNMIK）のもと、コソボを国連の暫定統治下に置くことを決定しました。これにより、コソボの行政、立法、司法をUNMIKが管理することになりました。
NATO主導の平和維持活動: 北大西洋条約機構（NATO）主導の平和維持軍（コソボ平和維持部隊、KFOR）の活動を認め、コソボにおける治安維持を担わせることになりました。
セルビア政府関係者の復帰: セルビア人の伝統的地域や主要な国境検問所において、一定人数のユーゴスラビア・セルビア政府関係者の関与を維持することを認めました。しかし、実際にはこの措置は実施されていません。
コソボの地方自治政府機構の設立: UNMIKに対して、コソボの地方自治政府の機構（暫定自治政府諸機構）を設立することを命令しました。これにより、コソボの自治に向けた第一歩が踏み出されました。
ユーゴスラビアの主権と領土保全の確認: ユーゴスラビア連邦共和国、ヘルシンキ宣言、および決議第2付帯文書に定められた他の諸国の主権と領土の保全を確認しました。
難民の帰還と住民の保護: 国際連合に対して、コソボにいるすべての難民の故郷への安全かつ円滑な帰還を保障し、すべての住民の平和的な日常生活の確保を求めました。
コソボ解放軍の武装解除: コソボ解放軍（KLA）および他のアルバニア系コソボ武装集団に対して、武装解除を求めました。
コソボの将来の地位に関する政治プロセスの促進: ランブイエ合意を考慮に入れ、コソボの将来の地位を定めるための政治プロセスを促進することを国際連合に認めました。このプロセスは、2005年末に国際連合特使マルッティ・アハティサーリのもとで開始されました。

決議1244の意義

国連安保理決議1244は、コソボ紛争後の国際的な関与の枠組みを定めた重要な決議です。コソボの国連暫定統治、平和維持活動、難民帰還、将来の地位に関する政治プロセスなど、紛争後のコソボの安定と発展に向けた国際社会の取り組みを方向付けました。しかし、コソボの地位問題は依然として複雑であり、決議1244の解釈をめぐって関係各国の意見が対立することもあります。

関連項目

国際連合安全保障理事会決議
コソボ紛争

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