国際連合安全保障理事会決議1776

国際連合安全保障理事会決議1776について

国際連合安全保障理事会決議1776（UNSCR1776）は、2007年9月19日に採択され、アフガニスタン情勢に関する重要な決定を示しました。この決議は、国際治安支援部隊（ISAF）の任務を2008年10月13日まで延長することを主な内容としています。また、特筆すべき点は、決議の前文で初めて「不朽の自由作戦」（OEF）に対する評価が表明されたことです。

投票結果と採択過程

この決議は、賛成14票、反対0票、棄権1票（ロシア）という結果で可決されましたが、全会一致ではなかったことが注目されます。日本のインド洋で行われている給油活動の根拠法であるテロ対策特別措置法の延長や新法制定に大きな影響を与えると考えられ、多くの国がその動向に注目しました。

決議採択に向けての経緯では、日本においてテロ特措法の延長議論が行われる中、民主党の小沢一郎代表がOEFは国連決議によって承認されていないとの発言を背景に、政府がアメリカ政府に働きかけ、国連決議にその旨を反映させるよう提案を行った経過があります。この結果、中国とロシアは政治的な意図を懸念し、特にロシアは最終的に棄権に回りました。

決議内容の分析

おもしろい点として、決議の前文には、北大西洋条約機構（NATO）の指導的役割や、多くの国々の貢献への感謝が表明されています。この表現は、特に海上阻止活動の重要性を強調しており、次回のISAF関連の国連決議に向けて、重要な先例とされました。

一方で、ロシアのチュルキン大使は決議不支持の理由として、新たな文言に関して明確な結論が出ていないことや、これまでのアフガニスタン関連決議には登場していないこと、テロとの戦いにのみ必要なものであるとの見解を述べていました。

日本への影響

日本におけるこの決議の採択は、自衛隊のインド洋派遣において憲法上の制約を受ける中での重要な意味合いを持ちました。決議1776は、アフガニスタンでの国連安保理が承認した部隊であるISAFの活動期限を延長することで、日本の給油活動の法的基盤を確立しました。このように国連の決議が国内法に影響を及ぼすことで、集団的自衛権の認識や、国際協力における日本の立場を明確にする役割も果たしました。

その後の流れ

この決議に続き、2008年9月22日にはOEF参加諸国と海上阻止行動への謝意を盛り込んだ国連安保理決議1833が採択されました。この時は、全会一致での採択となり、ロシアも賛成に回るという展開がありました。

国連安保理決議1776は、国際情勢におけるアフガニスタンの問題だけでなく、日本国内での防衛政策や国際的な貢献に対する考え方にも大きな影響を与えるものであったと言えるでしょう。当時の国際情勢における日本の役割を理解する上で、非常に重要な文書となっています。

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