国際連合安全保障理事会決議1874

国際連合安全保障理事会決議1874について

国際連合安全保障理事会決議1874（UNSCR1874）は、2009年6月12日に国連安全保障理事会で全会一致で採択された、北朝鮮に関する決議です。この決議は、北朝鮮が同年5月に行った核実験に対する国際社会の強い非難と、核兵器及びミサイル開発の抑制を目的としています。

決議の概要

UNSCR1874は、2006年の決議1718に続くもので、国連憲章第7章に基づき、経済制裁を含む具体的な措置を定めています。特に、北朝鮮の核兵器及びミサイル開発に関わる資金の凍結、武器関連物資の輸出入制限を強化し、ヒト、モノ、カネの流れを制限する制裁措置を明確にしています。

決議の主な特徴

貨物検査権限の付与:
加盟国は、北朝鮮への輸出入が禁止されている物資について、公海、海港、空港などで検査する権限を持つことが定められました。違反が疑われる場合は、貨物の破壊も許可されます。この措置は、北朝鮮への武器関連物資の流入を厳しく制限することを目的としています。

制裁対象の拡大:
決議では、核兵器、ミサイル関連物資に加え、武装軍用車両、大口径砲術システム、攻撃用ヘリコプター、軍用艦艇など、軍事転用可能な品目も輸出入禁止としました。また、これらの貨物を運搬する船舶への補給も制限されます。

金融制裁の強化:
北朝鮮の核開発やミサイル開発に関連する金融取引を停止する権限が加盟国に与えられました。さらに、人道目的や開発目的以外での新規の助成金、金融支援、無利子融資も禁止されています。

制裁履行の監視体制:
国連事務総長に対し、制裁委員会の活動を支援する専門家パネルの設置が求められました。また、加盟国には制裁の実施状況を報告する義務が課せられ、違反行為があった場合は制裁委員会に報告することが求められました。

決議の背景と成立経緯

2009年4月5日、北朝鮮は弾道ミサイル発射実験を実施しました。これに対し、国連安保理は同月13日に非難声明を採択し、北朝鮮に対し、ミサイル発射の中止、核兵器と弾道ミサイル開発の完全放棄、6か国協議への早期復帰を求めました。

しかし、同年5月25日に北朝鮮は核実験を強行。これを受け、国際社会は北朝鮮への圧力を強化し、同日、日本の首相も声明を発表しました。そして、同年6月12日、国連安保理は全会一致で決議1874を採択しました。

決議の具体的な内容

決議1874では、以下の点が明確に定められました。

1. 2009年5月25日の北朝鮮の核実験を最も強く非難。
2. 北朝鮮への輸出入を禁じる品目を拡大。
武装軍用車両
大口径砲術システム
攻撃用ヘリコプター
軍用艦艇
ミサイル及びミサイル部品
3. 加盟国に対し、禁止品目の検査、押収、廃棄の権限を付与。
4. 公海での検査要請に応じない船舶を、適切な海港に誘導し調査する権限を付与。
5. 検査や押収を行った加盟国は、制裁委員会へ詳細を報告する義務を負う。
6. 国連事務総長に専門家パネルの設置を要請。
7. 小型武器・軽火器の監視を強化し、少なくとも5日前には制裁委員会に報告するよう要請。
8. 北朝鮮の大量破壊兵器開発に関連する金融資産の移転を阻止。
9. 人道目的以外での北朝鮮への新規の助成金、金融支援を禁止。
10. 制裁対象となる物品・個人・団体を特定する作業を制裁委員会に要請。
11. 加盟国に決議の実施状況を45日以内に報告するよう要請。
12. 北朝鮮の決議履行状況に応じて、決議内容の強化、修正、中断、停止を行うことを約束。

関連事項

この決議は、北朝鮮の核兵器・ミサイル開発を阻止するための重要な国際的枠組みの一部であり、関連する決議や法律と合わせて、北朝鮮への制裁措置を強化する役割を果たしています。

北朝鮮の核実験 (2006年, 2009年)
国際連合安全保障理事会決議825, 1540, 1695, 1718
国際連合安全保障理事会決議第千八百七十四号等を踏まえ我が国が実施する貨物検査等に関する特別措置法

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