国際連合安全保障理事会決議425

国際連合安全保障理事会決議425

国際連合安全保障理事会決議425は、1978年の3月19日に採択された重要な決議であり、レバノン内戦とイスラエルの軍事行動に関連しています。この決議は、レバノン南部におけるイスラエルの侵攻を受けて、その撤退を求めるものでした。決議の主な目的は、国際的な平和と安全の回復、そしてレバノン政府が南部の統治を取り戻すために国際連合暫定レバノン駐留軍（UNIFIL）の設置を促進することでした。

背景

1978年3月11日、パレスチナ解放機構（PLO）の工作員による「コースタル・ロードの虐殺」事件が発生しました。この事件では子どもを含む37人が死亡し、76人が負傷しました。これを受けて、イスラエルはレバノン南部への軍事侵攻を決定しました。この作戦は「リタニ作戦」と呼ばれ、主にイスラエル北部の安全を確保し、レバノン内戦でのキリスト教徒勢力への支援を目的としていました。侵攻においては、パレスチナ人の拠点を排除することを目指していました。

レバノン政府は強く抗議し、安保理に対してイスラエルの行動がパレスチナの作戦と無関係であることを主張しました。その結果、国際連合安全保障理事会は1978年3月19日に決議425を採択し、イスラエルに対する即時停戦と撤退を求めることとなりました。

決議の内容

決議425では、イスラエルの軍事行動を非難し、レバノン領からの即時撤退を要求しました。また、国際連合レバノン暫定駐留軍を設置し、地域の安定化を図るための枠組みを提供しました。採決においては賛成が12国、棄権が2国、欠席が1国という結果で採択されました。

実行とその後

国際連合レバノン暫定駐留軍は1978年3月23日にレバノンに到着し、その後イスラエル軍は1978年6月までに撤退しました。しかし、その後も南レバノン軍を通じて影響力を維持しました。PLOがレバノン南部からの攻撃を続けたため、1982年6月には再度イスラエルによる大規模な侵攻が行われ、ベイルートの占領につながりました。結局、イスラエルは2000年5月にレバノン南部からの完全撤退を行いました。

国際連合は、2000年6月16日においてイスラエル軍がレバノンから撤退したとの結論を出しました。この撤退によって確立された国境線は「ブルーライン」として知られるようになりました。

しかし一部のレバノン勢力、特にヒズボラは、イスラエルが依然としてレバノンの領土を占有していると主張しています。この点については国際連合も、シェバー・ファームズはゴラン高原の一部であり、決議425の範疇には含まれないとの見解を示しています。

現在の状況

イスラエル軍が撤退して以来、国境域での緊張が続いており、様々な事件が発生しています。1978年以降も、数回にわたり安保理決議が採択されており、2021年8月の時点ではレバノン政府が南部の実効支配を完全に達成できていません。ヒズボラによる攻撃が続いており、これに対してイスラエルも反応を強めています。安保理決議425は、地域の政治的状況や安全保障において依然として重要な意味を持っているといえるでしょう。

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