国際連合安全保障理事会決議82

国際連合安全保障理事会決議82

国際連合安全保障理事会決議82は、1950年6月25日、国連安保理で採択された決議です。この決議は、北朝鮮の韓国侵攻を受けて、北朝鮮に対して即時の侵攻停止と軍の38度線までの撤退を求めるものでした。この決議は賛成9、反対0、棄権1の支持を得て成立しました。

背景

朝鮮半島は、第二次世界大戦後に北緯38度線を境にアメリカとソ連によって分割されました。北側にはソ連が支持する金日成政権の北朝鮮、南側にはアメリカの支援を受けた李承晩政権の韓国が存在しました。冷戦の影響で両政府の間の緊張は高まり、南北間での小競り合いが多発しました。国連は韓国を朝鮮半島の唯一の合法的政府と認定し、選挙監視委員会を設置するなどの努力をしましたが、北朝鮮は国連の活動を妨害しました。

開戦の経緯

1950年6月25日、北朝鮮は韓国への攻撃を開始しました。北朝鮮軍はわずか数時間で韓国の首都ソウルに到達し、韓国軍は壊滅的な状況に陥りました。この攻撃は、アメリカと国連にとって衝撃的なニュースであり、迅速な対応が求められました。

国連による対応

アメリカ合衆国は、国連安保理の開催を求め、北朝鮮の侵攻は国連憲章に違反するものであるとの決議案を提出しました。会合では、韓国代表が侵略の悲惨さを訴え、国連による迅速な対応を強調しました。これを受けて、安保理は北朝鮮を加害者とみなし、決議82を採択しました。

決議内容とその影響

この決議は、北朝鮮に対して侵攻の停止と撤兵を求めるものであり、アメリカにとっては外交的勝利とされました。しかし、北朝鮮はこの決議を無視し、国連とアメリカはさらなる行動を取ることになりました。6月27日には、国連安保理決議83が採択され、他の国連加盟国による軍事介入が勧告されました。

決議の評価

この決議は、時に危険な状況を生む結果となりました。2010年に、コルム・リンチはこの決議を史上最悪の国連決議の一つと捉えました。ソ連がボイコットを解消した場合、北朝鮮へのあらゆる決議を拒否権で阻止されると考えられていました。その後、アメリカは国連総会における新たな手続きを提案し、国際平和の確保に向けた新たな道を模索しました。

国際連合安全保障理事会決議82は、朝鮮戦争の第一歩を形成した重要な一文であり、冷戦の時代における国際的な緊張とその後の展開を象徴する出来事といえるでしょう。

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