国際連合安全保障理事会決議84

国際連合安全保障理事会決議84について

国際連合安全保障理事会決議84は、1950年7月7日に採択された重要な文書です。この決議は、朝鮮戦争の初期段階における国際的な対応を示すものであり、特に北朝鮮軍による韓国への侵攻を受けた際の行動を規定しています。決議の背景には、国際的な平和と安全を脅かす行為があったため、安保理は即座に対応する必要があると判断しました。

この決議では、まず北朝鮮の行動を「平和の破壊」と定義し、これに対抗するために国際連合加盟国に向けた具体的な呼びかけが行われました。安保理は、加盟国に対し、北朝鮮の攻撃を撃退し、韓国の平和と安全を回復するために必要な支援を提供するよう奨励しました。このように、安全保障理事会は加盟国に対し主権国家の防衛という重要な責任を訴えたのです。

さらに、安保理は全ての加盟国に対して、韓国への軍事援助をアメリカ軍の指揮下に置く統一司令部に提供するよう勧告しました。この決議によって、アメリカは韓国に対する軍事的支援のリーダーシップを担うことになりました。ここで特筆すべきは、安保理がアメリカに対しその軍の司令官を指定するよう要請し、その際に国際連合の旗を使用することを許可した点です。これは、国際的な枠組みの中での軍事行動に関する新たな基準を設定したと言えます。

決議84は、賛成者が7カ国で、反対が0、棄権が3カ国という結果で採択されました。賛成した国にはイギリス、中華民国、キューバ、エクアドル、フランス、ノルウェー、アメリカが含まれています。棄権した国はエジプト、インド、ユーゴスラビアでした。特に、ソビエト連邦は、当時の中国の国連に対する代表権に関する問題からボイコットをしていたため、この決議では拒否権を行使していません。これは、当時の国際関係における複雑な状況を物語っています。

この決議は、韓国への国際的な支援の枠組みを作り出し、続く朝鮮戦争における国際的な介入を正当化する重要な文書となりました。このようにして、国際連合安全保障理事会は、加盟国に対し集団的な行動を促す役割を果たしました。決議84は、今後の国際安全保障のあり方に大きな影響を与え、冷戦期における国際政治の一つの転換点となりました。国際的な法と秩序の維持には、時として軍事的な介入が必要であることを示す事例と言えるでしょう。

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