国際連合安全保障理事会決議85

国際連合安全保障理事会決議85について

国際連合安全保障理事会決議85（UNSC Resolution 85）は、1950年7月31日に国際連合の安全保障理事会によって採択された重要な決議である。この決議は、朝鮮半島における民間人への支援を強化するため、ダグラス・マッカーサー元帥が指揮する国連軍に特定の権限を与えることを目的としている。

採択の背景

この決議は、国連の安全保障理事会第479回会合において、安保理決議84が採択された後に出されたものである。決議84では、朝鮮半島における国連軍の指揮体系を整えるため、統一司令部が創設され、マッカーサー元帥がその司令官に就任した。このような背景を受けて、決議85は、民間人の支援を進めるための手続きを明確にした。

内容と意義

決議85では、国連軍による民間人の保護と支援のための行動を促進するため、いくつかの専門機関や適切な非政府組織に対して、国連軍の活動を支援するよう要請している。具体的には、人道的支援を必要とする民間人に対して、国際的な協力を図り、状況を改善するための措置を講じることが重要とされた。これは、当時の朝鮮戦争の混乱の中で、多くの民間人が危険にさらされていた状況を考慮したものである。

この決議は、賛成9票、反対0票、棄権1票という結果で採択された。棄権したのはユーゴスラビアであったが、当時のソビエト連邦は、国連における中国の代表権を巡る問題から、国連の会合に参加しておらず、この決議に対して拒否権を行使することがなかった。ソ連がボイコットしていたため、決議の採択は比較的スムーズに進んだ。

決議の影響

この決議は、その後の国連軍の活動において、民間人保護の重要性を国際的に強調する役割を果たした。朝鮮戦争の混乱の中で、多くの民間人が犠牲になり、国際社会が介入する必要性が高まっていた。国連の決議は、国際法に基づき民間人を守るための行動の枠組みを提供し、戦争がもたらす人道的危機に対して迅速かつ効果的な対応を促すものであった。

結論

国際連合安全保障理事会決議85は、朝鮮半島における人道的な支援の枠組みを明確にしただけでなく、国際社会が戦争における民間人の保護に対して果たすべき責任を再確認する重要な文書である。これにより、国連のミッションや活動が実質的に強化され、国際的な人道支援の必要性が一層認識されることとなった。決議85は、当時の国際情勢における重要なターニングポイントの一つとして記憶されている。

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