国際連合総会決議68/262

国際連合総会決議68/262：クリミア併合の無効性を確認

国際連合総会決議68/262は、2014年3月27日に国連総会で採択された決議であり、ロシアによるクリミア自治共和国とセヴァストポリの併合を非難し、その無効性を確認するものです。この決議は、国際社会における領土保全の原則と、武力による現状変更の試みに対する強い拒否の意思を示すものとして、重要な意味を持っています。

決議に至る経緯

2014年2月、ウクライナ国内の政情不安に乗じて、ロシアはクリミア半島への軍事介入を開始しました。これに対し、ウクライナは国際連合安全保障理事会（安保理）に緊急会合の招集を要請。ウクライナ国連大使は、クリミアにおける状況悪化がウクライナの領土保全を脅かしていると訴えました。

安保理では、クリミアにおける住民投票を無効とする決議案がアメリカによって提出されましたが、ロシアの拒否権行使によって否決されました。安保理での決議が頓挫したことを受け、ウクライナは国連総会に対し、同様の趣旨を持つ決議案（A/68/L.39）を提出しました。

国連総会決議には、安保理決議のような法的拘束力はありません。しかし、国際社会の多数の支持を得ることで、政治的な圧力を加える効果が期待されました。

決議の内容

決議は「ウクライナの領土保全」というタイトルで発表され、直接ロシアを名指しこそしないものの、その行動を強く牽制する内容となっています。主な内容は以下の通りです。

2014年3月16日にクリミアで行われた住民投票の無効性を確認。
全ての国連加盟国、国際機関に対し、武力や威嚇によるウクライナの国境変更、クリミア半島の地位変更を認めないよう要請。
* 関係国に対し、政治的対話を通じて事態の平和的解決を模索するよう促す。

賛否の結果とその後

2014年3月27日、第68回国連総会本会議で決議案の投票が行われました。結果は、賛成100カ国、反対11カ国、棄権58カ国となり、圧倒的多数で採択されました。しかし、ロシア外務省は決議の採択を主導した西側諸国を非難する声明を発表し、自らの立場を正当化しました。

この決議は、クリミア半島の地位に関する国際的な議論において、重要な基準点となっています。多くの国がこの決議を支持し、ロシアによるクリミアの併合を認めていません。しかし、ロシアは依然としてクリミアを自国の一部と主張しており、この問題は未解決のままとなっています。

まとめ

国際連合総会決議68/262は、ロシアによるクリミア併合という国際法違反の行為に対し、国際社会が一致して反対の意思を示した歴史的な決議です。この決議は、領土保全の原則の重要性を再確認させるとともに、国際紛争の平和的解決に向けた努力の必要性を改めて訴えるものと言えるでしょう。

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