国際電波科学連合

国際電波科学連合（URSI）は、電波科学分野における国際的な学術組織であり、国際科学会議（ICSU）に加盟する26の科学連合の一つです。フランス語名Union Radio-Scientifique Internationaleの略称でURSIと呼ばれています。

歴史と目的

URSIは、1919年に国際科学会議（現在のICSU）の総会で、フランスの国内組織Commission Internationale de Telegraphie sans Filを基に設立されました。当時、無線電信が唯一の電波通信システムであった時代背景があります。設立当初の目的は、無線電信の科学的研究、特に国際協力の奨励でしたが、現在では対象範囲が大幅に拡大しています。

現在、URSIは電気通信、電波天文学、レーダーによる遠隔探査、電磁波の生物学的影響、電波による物質の変化など、電波科学全般を扱っています。使用する周波数帯も極超長波から可視光線までと幅広く、電波科学の進展と共にその活動領域を広げてきました。

URSIは、設立当初から国際協力を重視しており、1922年以降、3年ごとに総会を開催し、研究成果の発表や情報交換を行っています。また、国際地球観測年の推進にも重要な役割を果たしました。学術誌の発行にも力を入れており、アメリカ地球物理学連合（AGU）と共同で「Radio Science」を発行しているほか、「Journal of Atmospheric and Solar-Terrestrial Physics」も支援しています。

委員会

URSIは、専門分野ごとに以下の委員会を設置しています。

A委員会：電磁計測
B委員会：場と波
C委員会：無線通信システムと信号処理
D委員会：エレクトロニクスとフォトニクス
E委員会：電磁環境と干渉
F委員会：電波伝搬とリモートセンシング
G委員会：電離層における無線伝搬
H委員会：プラズマ中の波
J委員会：電波天文学
K委員会：生物学と医学における電磁気学

これらの委員会は、それぞれの専門分野において研究活動を推進しています。また、国際宇宙空間研究委員会（COSPAR）と共同で国際参照電離層（International Reference Ionosphere）の研究プロジェクトを行うなど、他の国際機関との連携も積極的に行っています。

会員資格

URSIには、以下の会員資格があります。

corresponding member（CURSI）：各国のURSI国内委員会を通じてURSIの活動に参加する会員です。
シニアメンバー：博士号を持ち、10以上の論文を発表し、URSIへの長年の貢献が認められる者が対象です。
フェロー：URSIから招待された者、またはURSIシニア賞を受賞した者が対象です。


URSIは、世界中の電波科学者が集まり、研究成果を共有し、協力することで、電波科学の発展に大きく貢献しています。国際協力による研究活動や、学術誌の発行を通じて、電波科学の進歩を牽引しています。

参考文献

公式ウェブサイト
URSI日本国内委員会
国際無線科学連合米国全国委員会

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