極超長波

極超長波とは

極超長波（ごくちょうちょうは）とは、周波数が3kHz以下の非常に低い電波のことです。これは、超長波（VLF）よりもさらに低い周波数帯域に位置します。波長は100km以上と非常に長く、地球の持つシューマン共鳴の周波数帯域と一致することでも知られています。

定義の揺れ

極超長波の定義は、国際的な機関や研究者によって若干のずれが見られます。国際電気通信連合（ITU）では、VLFよりも低い周波数帯を、ULF（ultra low frequency：300Hz–3kHz）とELF（extremely low frequency：3Hz–300Hz）に区分しています。しかし、日本の文部科学省のサイトでは、ULFとELFの両方を極超長波として扱い、経済産業省のパンフレットでは、ULFのみを極超長波、ELFを超低周波としています。さらに、研究者の間でも意見が分かれており、前田幹夫氏らの研究では、SLF（super low frequency：30Hz–300Hz）という区分を設け、ULF、SLF、ELFをまとめて極超長波としています。英語圏でも同様に定義が混乱しており、ELFを日本語の極超長波と同じ意味で使用している例も少なくありません。

このように、極超長波の定義は必ずしも統一されているわけではなく、文脈によって解釈が異なる場合があることに注意が必要です。

通信への応用

極超長波は、その周波数の低さゆえに、情報伝達速度が極めて遅いという特徴があります。例えば、テキストデータを送信する場合、わずか3文字を送るのに15分もの時間を要することもあります。さらに、送信アンテナも非常に巨大で、90kmにも及ぶ長さが必要となるため、設備建設には莫大な費用がかかります。そのため、極超長波は、他の周波数帯の電波が届かない、特殊な場所での通信に限定的に利用されています。

極超長波の大きな特徴は、大地や水中を通り抜けることができる点です。そのため、通常の電波が減衰して使用できない場所、例えば鉱山内部や海中を航行する潜水艦との通信に利用されています。潜水艦への通信は、短縮コードを用いた一方通行の指令送信が中心で、潜水艦側からの返信は技術的に困難です。

地震との関係

近年、地震発生前に極超長波のスパイク状の信号が観測されるという報告が、複数の観測局から寄せられています。例えば、1989年にカリフォルニア州で発生したロマ・プリータ地震でも、同様の現象が確認されています。この現象が地震の早期警戒システムに役立つ可能性が指摘され、地震と極超長波の関係について、現在も研究が進められています。

まとめ

極超長波は、非常に低い周波数帯域の電波であり、定義や利用方法において、まだ研究段階の部分が多く残されています。しかし、その特性から、特殊な環境下での通信手段として、あるいは地震予知の可能性を秘めた電波として、今後の発展が期待されています。

関連項目

• - 電波
• - 周波数
• - 電磁波

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