園田オートレース場

園田オートレース場：関西オートレース黎明期の軌跡

1951年10月、兵庫県尼崎市の園田競馬場内に、園田オートレース場が開設されました。これは、オートレースが関西地区に本格進出するための第一歩として、大きな期待を込めて計画されたものでした。当初は芦屋市に新たなレース場を建設する予定でしたが、諸事情により、園田競馬場内への暫定的な開設という形が採られました。

オートレース発祥の地である船橋オートレース場も、当初は船橋競馬場内に併設されていたため、園田オートレース場の開設方式は、決して特異なものではありませんでした。しかし、園田オートレース場のスタートは決して順風満帆とは言えませんでした。開設にあたり、審判員や運営スタッフが深刻に不足しており、船橋オートレース場から多大なる支援を受けながらの開催となりました。にも関わらず、予想を下回る観客動員と売り上げに終わり、次回開催の目処すら立たないという厳しい状況に直面しました。

それから約4ヶ月後の1952年2月、再び開催が試みられました。しかし、前回を下回る不振な結果に終わりました。さらに、園田競馬場側からは、オートレース開催による馬場の荒れを懸念する強い抗議が殺到する事態となりました。こうした厳しい状況の中、園田オートレース場は、1953年1月にわずか1年4ヶ月という短い歴史に幕を閉じました。

園田オートレース場の廃止後、関西地区でのオートレース開催の拠点として甲子園オートレース場が新設されました。しかし、甲子園オートレース場も、園田オートレース場と同様に短命に終わり、関西地区でのオートレースの定着は、その後も長く困難な道のりを辿ることになります。

園田オートレース場は、その短い歴史の中で、関西におけるオートレースの黎明期特有の困難や課題を象徴的に示しています。運営上の問題や収益性の確保、周辺施設との関係性など、現代のオートレースが享受する安定した環境とは大きく異なる、厳しい環境下での挑戦であったと言えるでしょう。この短い歴史は、現在のオートレースの発展を支える礎となった重要な経験として、記憶にとどめておくべきでしょう。

参考文献

日本小型自動車振興会『オートレース三十年史』（1981年）

外部リンク

JKA:オートレース公式年表

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