土佐 (戦艦)

戦艦「土佐」の歴史

「土佐（とさ）」は、名前の由来を旧土佐国に持つ日本海軍の戦艦です。この艦は八八艦隊計画に基づき、加賀型戦艦の2番艦として建造が始まりましたが、第一次世界大戦後のワシントン海軍軍縮条約により、艤装工事を前に建造が中止されることが決定されました。以降、「土佐」は各種実験に使用された後、最終的には海没処分となりました。この艦における多くの実験結果は、将来の兵器開発や新型艦艇の設計に大きな影響を与えました。

概要

「土佐」は、八八艦隊計画の4番艦として建造が進められ、1918年5月15日に艦名が付けられました。同日、同型艦「加賀」と共に、艦艇類別等級表に登録されました。1919年には三菱造船長崎造船所と建造契約を締結し、1920年には起工式が行われました。さらに、同年4月には昭和天皇小学時代の皇太子が進水式で最初のリベットを締めました。その際、本艦の技術供与の見返りとしてイギリスに機関図面の一部を提供しました。

1921年12月18日には進水式が行われ、大正天皇の名代が臨席しました。しかしながら、ワシントン軍縮会議の結果、1922年2月5日に建造中止が通達され、同年7月31日には未完成のまま海軍に引き渡されました。この時点では、艦体の大部分が完成していましたが、その後、標的艦として処分される運命が待ち受けていました。

廃艦とその後

「土佐」の廃艦に関する決定が下された背景には、軍縮条約の影響がありました。初めに空母への改造計画があったものの、最終的に改造対象の艦が変更され、建造中の「土佐」を含む複数の艦が標的艦として処分されることとなったのです。軍艦の廃艦時には、造船所側の話では「土佐は世界の軍艦中最も優れている」と信じていたものの、廃棄されることが報じられ、涙をのむ結果となりました。

1924年4月には、建造取り止めが通達され、続いて処分される艦の部品や資材は他の艦艇に流用されました。特に「土佐」の主砲塔は要塞砲として再利用され、今でもその名残をとどめています。

「土佐」は1924年6月から数ヶ月間にわたり標的艦として実験に取り組みました。この実験の一環として、砲撃や爆薬を用いて防御力の強化が図られ、新型砲弾に関する研究も行われました。これらのデータは後の艦艇の設計に大いに役立つものでした。

最期

「土佐」は1925年2月6日に海没処分が予定されていましたが、悪天候で延期され、2月9日に高知県沖で処分されました。「土佐」の進水式の際には、くす玉が割れなかったというハプニングもあり、それが艦にとっての不吉な兆しとされました。この艦が持つ歴史は、未完成状態のシルエットがあることで「軍艦島」という愛称につながり、今日でも語り継がれています。

「土佐」は日本の海軍史において重要な位置を占めた艦橋であり、複雑な運命を辿った艦艇の一つです。その影響は、直接的な戦闘や艦艇の設計に限らず、当時の技術進歩や国際情勢にも深く関わっていたのです。

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