ワシントン海軍軍縮条約

ワシントン海軍軍縮条約について

概要

ワシントン海軍軍縮条約（通称華府条約）は、1921年11月11日から1922年2月6日にかけてアメリカのワシントンD.C.で開催された海軍軍縮をテーマにした会議で採択された重要な国際条約です。この条約は主にアメリカ、イギリス、日本、フランス、イタリアの五大国による海軍力の制限を目的としており、各国の戦艦や航空母艦の保有を厳格に規制しました。

背景

第一次世界大戦後、多くの国々は戦艦の建造を推進していました。特にアメリカと日本は、それぞれダニエルズ・プランと八八艦隊計画と呼ばれる大規模な艦隊整備計画を持っていました。しかし、急激な軍備拡張は国家予算に大きな負担をかけ、各国の経済状況が逼迫する事態を招きました。このため、アメリカ合衆国の大統領、ウォレン・ハーディングが提唱したことを受けて、五大国による軍縮が進むこととなります。

条約の内容

条約では各国が保有する主力艦の数とその総排水量を制限することが決定されました。具体的には、戦艦の新造は条約締結後10年間凍結されることとされ、古い艦艇を退役させる場合にのみ新造が許可されるといった規定が設けられました。また、排水量は35,000トン、主砲の口径は16インチ（406mm）以下といった厳しい制約が加えられました。さらに、各国の保有艦の総排水量比は英米：日：仏伊を5：3：1.75に設定しました。

主要な内容と影響

条約の採択により、各国の保有艦艇の比率は調整され、日本はアメリカに対して優位性を追求しましたが、最終的には折衝の結果、日本は特定の条項で敗北を経験します。日本側の主張により、陸奥という艦艇の取り扱いが大きな議題となりましたが、最終的にはその建艦が認められるものの、アメリカとイギリスにはそれぞれ新艦の建造が許可されました。

条約締結後、世界には「ビッグ7」と呼ばれる特定の戦艦のみが存在することになり、この時期の軍艦のデザインや建造に大きな影響を与えました。また、条約の影響を受けてさまざまな「条約型巡洋艦」が作られ、各国は制限内での艦艇開発にしのぎを削ることとなりました。このように、条約は海軍装備の近代化を促進する一方で、抑制された軍備から新たな軍拡競争を引き起こす一因ともなりました。

条約の効果と後の動向

ワシントン海軍軍縮条約は以降のロンドン海軍[[軍縮会議]]によっても拡張・修正が試みられましたが、1930年代に入ると、国際情勢の変化や特定国による条約の脱退などにより、軍縮の実効性が低下しました。特に日本は1933年に国際連盟を脱退し、1936年には条約の破棄を通告し、実質的な海軍軍縮の時代が終焉を迎えることとなります。

このように、ワシントン海軍軍縮条約は国際的な軍縮の試みの一環として、軍事力の均衡を保ちながら海軍力の抑制を図る重要な試みであり、それは後の国際関係や軍備政策に深い影響を及ぼしたのです。

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