土岐康行

土岐康行の生涯

土岐康行（ときやすゆき）は、南北朝時代から室町時代前期にかけて活躍した日本の武将であり、守護大名です。彼は美濃と伊勢の地域における歴史的な権力を象徴しています。康行は土岐頼康の弟であり、また頼康の跡を継ぐ形で重責を担いました。彼の人生は、政治的な陰謀や権力争いに彩られています。

康行は元々義行という名を名乗っていましたが、伯父である土岐頼康の養嗣子となった際、伯父の名前から一文字を取り康行と改名しました。土岐家は、美濃・尾張・伊勢の三か国において守護大名として確固たる地位を持っていましたが、時代の変化と共に将軍権力の強化が進んでいきました。特に、3代将軍足利義満は守護勢力の弱体化を目指し、康行の弟である満貞と密接に接触を図り、康行を挑発する策略を企てました。

1387年、父の充遺混乱の中で頼康が死去した後、義満は満貞に尾張の守護職を与え、康行の家督を奪おうとしました。この時期、康行は数々の苦難に直面し、1389年4月には義満による討伐が行われ、これが土岐康行の乱と呼ばれることとなります。この乱の結果、康行は美濃で挙兵したものの敗北を喫し、その後尾張と伊勢の守護職を奪われ、実権を失ってしまいました。この頃、彼は「義」の字を失い康行としての人生を歩むことになりました。

その後、康行は再任される資格を得て、1391年には伊勢守護として復活を果たしました。明徳の乱においては功績を挙げ、以降康行の子孫は伊勢守護職を継承していくことになります。この流れは世保家（よやすけ）という系統にも影響を与え、持続的な影響力を持つこととなりました。

康行は1404年10月6日にその生涯を閉じましたが、その足跡は歴史の中で色あせることなく伝えられています。彼は1384年には美濃国の永安寺に梵鐘を寄進しており、この鐘は現在も岐阜県の重要文化財に指定されています。これにより、土岐康行はその治世が文化にも影響を及ぼしたことを示しています。

また、彼の家族関係も興味深い点です。康行には弟の満貞や子の康政、さらには彼の娘（土岐詮直の妻）も存在し、家系が時代と共に多様な軌跡を描いています。康行の孫は康政の子持頼と満康の子持康を持ち、土岐家は長きにわたりその名を残し続けました。彼の生涯を通じて、権力や家族、文化の接点が顕著に見られ、武将としての影響力を深く理解する一助となるでしょう。

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