土岐満貞

土岐満貞の生涯とその影響

土岐満貞（とき みつさだ）は、南北朝時代に存在した武将であり、また守護大名でもありました。彼は室町幕府の侍所頭人として、その時代の政治や軍事活動に関与していました。満貞は尾張の守護を務め、島田氏の祖とも伝えられています。さらに、彼の子孫とされる菅沼氏一族は、戦国時代に遠江などに所領を持ちながら、今川氏や徳川氏に仕官したとも言われています。このように、土岐満貞は歴史的に重要な人物であり、彼の伝説や評価は時代を超えて今も語り継がれています。

生い立ちと家族の背景

満貞は嘉慶元年（1387年）に、土岐氏の棟梁であった伯父、頼康が亡くなった後に生まれました。この時、兄の康行が家督を継ぎました。満貞は在洛するように命じられ、3代将軍足利義満の近侍として仕えることとなりました。彼が侍所頭人に任じられたのは至徳2年（1385年）のことで、この頃に義満から「満」の字を与えられ、満貞と名乗るようになったと考えられています。

野心と権力闘争

しかし、満貞は兄・康行を中心とする惣領家に対して野心を抱いており、義満に兄の讒言を頻繁に行っていました。このことが後に彼の運命を大きく変える要因となります。義満も土岐氏の勢力を脅威に感じた結果、嘉慶3年（1389年）に驚くべき決断を下しました。それは康行から尾張の守護職を剥奪し、満貞に与えるというものでした。

この決定に最も反発したのは、尾張の守護代であった従弟の詮直でした。満貞は尾張に下向するものの、地元軍勢に敗れ、京に逃げ帰ることとなります。満貞は再び義満に康行および詮直の謀反を訴え、翌年には幕府の軍勢によって康行らは追討される結果となりました。この一連の事件は「土岐康行の乱」として知られています。

明徳の乱とその後の運命

その後、満貞は明徳2年（1391年）に発生した明徳の乱において、内野の合戦での卑怯な行動により守護職を罷免されてしまいました。この結果、尾張の守護職は土岐氏の手から離れることとなり、満貞のその後の消息は不明のままとなっています。

土岐満貞の人生は、戦国時代の権力争いの中での家族間の対立や、彼自身の野心が如何にして影響を与えたのかを示す一例といえるでしょう。彼の物語は、当時の武士社会や政治的な状況を知る上で欠かせない要素です。

もう一度検索