土岐郡三十三所巡礼

土岐郡三十三所巡礼

土岐郡三十三所巡礼は、かつて岐阜県土岐市、瑞浪市の大半、そして多治見市の一部にまたがる地域に存在した巡礼地です。この巡礼は、江戸時代に盛んになった西国三十三観音霊場の写し霊場の一つとして、地域の人々の信仰を集めました。

歴史

巡礼が始まったのは元禄8年（1695年）のことです。当時、土岐郡久尻に住んでいた普水居士という人物が、加賀藩主前田光高に仕えていた縁から、この巡礼を発願しました。彼は、地元の清安寺の三世住職であった高巌禅英とともに、札所となる寺院を選定し、それぞれの寺院に相応しい御詠歌を定めました。

しかし、明治時代に入ると、多くの寺院が廃寺となり、巡礼そのものも行われなくなってしまいました。かつては地域の人々の心の拠り所であった巡礼道は、長い年月を経て忘れ去られていったのです。

近年の動き

近年、巡礼の歴史が見直される動きが出てきました。平成26年（2016年）には、巡礼の開創に深く関わった清安寺で、巡礼集の版木が発見されました。この版木は、土岐市図書館で内容を確認することができ、当時の巡礼の様子や信仰を知る上で貴重な資料となっています。

現状

現在、土岐郡三十三所巡礼は公式には行われていません。かつての札所の中には、既に廃寺となり、その姿を留めていないものも少なくありません。しかし、発見された版木を契機に、巡礼の歴史を再評価し、地域文化の継承につなげる動きも期待されます。

参考文献

『土岐市史 第二巻』p.371

関連項目

美濃瑞浪三十三観音霊場

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