土曜グランドスペシャル

フジテレビ『土曜グランドスペシャル』と幻の女子プロ野球チーム「ニューヤンキース」

『土曜グランドスペシャル』は、1978年4月から8月にかけてフジテレビ系列局で放送された単発特別番組枠です。全20回、毎週土曜19:30から20:54に放送されました。

誕生の背景

この番組枠が生まれた背景には、萩本欽一さんの人気番組『欽ちゃんのドンとやってみよう!』（欽ドン!）の存在がありました。「ナイター中継の裏で冠番組はやりたくない」という萩本さんの意向で、『欽ドン!』は1978年4月に一時中断。フジテレビは、その穴埋めとして新たな番組を企画する必要に迫られました。

そこで白羽の矢が立ったのが、当時フジテレビが力を入れていた女子プロ野球チーム「ニューヤンキース」でした。フジテレビは、ニューヤンキースを月に1回のペースで芸能人チームと対戦させる企画を立て、その模様をテレビ放送したいと考えていました。しかし、当時のフジテレビには、レギュラー企画で手一杯の『火曜ワイドスペシャル』しか単発特別番組枠がなく、プロ野球ナイター中継も控えていたため、新たな枠を設ける必要があったのです。

番組内容とニューヤンキース

『土曜グランドスペシャル』では、ニューヤンキースの試合を中心に放送されました。また、ニューヤンキースの宣伝のため、同枠で放送されるすべての番組にニューヤンキースが出演し、オープニングでは彼女たちが歌を披露する演出も行われました。さらに、『欽ドン!』ファンのために、月に1回の割合で『欽ちゃんのドンとやってみよう! ○月編』も放送されました。

ニューヤンキースの試合は、主に横浜スタジアムで行われましたが、第1戦は後楽園球場、7月15日放送分は軽井沢で行われました。ナイター中継と『欽ドン!』のみ、ニューヤンキースのメンバーは出演せず、歌もありませんでした。

短命に終わった後

『土曜グランドスペシャル』は、同年8月に終了し、予定通り『欽ドン!』が再開されました。ニューヤンキースの試合は、『火曜ワイドスペシャル』や土・日午後の単発枠で『激突!女子野球』として放送され、1979年3月まで続けられました。

その後、『欽ドン!』が再び中断したため、1979年4月から8月にかけて同じ時間帯に固有枠名のない単発特番枠が編成されました。しかし、ニューヤンキースの試合はすでに終了していたため、『アメリカ大リーグアワー』などのスポーツ番組やアニメ、映画などが放送されました。

この枠の終了後、フジテレビの土曜ゴールデンタイムでは、2003年10月に『プレミアムステージ』（後の『土曜プレミアム』）がスタートするまで、単発特番枠はほとんど編成されませんでした。

テーマソング

前期のテーマソングはニューヤンキースが歌っていましたが、曲名、作詞者、作曲者はいずれも不明です。後期は「ザ・ベースボール」（作詞：林春生、作曲：佐瀬寿一、歌：スリーヤンキース）が使用されました。

ピンク・レディーの特別ルール

ピンク・レディーが出場した際には、特別ルールが適用されました。守備では、ミーとケイがショートの位置に2人並んで立ち、攻撃では1打席ごとに2人が交代しました。

その後

ニューヤンキースは、『クイズ・ドレミファドン!』などのフジテレビの番組にも出演しました。また、スリーヤンキースが歌った「ザ・ベースボール」は、2010年にテレビ朝日の番組で「ジャニーズ事務所には過去、女性アイドルが存在していた」という都市伝説の証明として紹介されました。

『土曜グランドスペシャル』は短命な番組枠でしたが、ニューヤンキースという幻の女子プロ野球チームの存在を世に知らしめ、その後のテレビ史に小さな足跡を残しました。

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