土曜ソリトン SIDE-B

概要

『土曜ソリトンSIDE-B』は、1995年4月8日から1996年3月23日にかけて、NHK教育テレビで全43回が放送された深夜のトーク番組です。毎週土曜日の深夜帯に位置づけられていました。

特徴と構成

この番組の最大の特色は、その名の由来となった「SIDE-B」のコンセプトにありました。アナログレコードやカセットテープにおける「B面」のように、流行の最前線や旬の話題から一歩引いた、オルタナティブな視点からゲストやテーマが選定されました。タレント、モデル、ミュージシャン、作家、写真家、映画監督など、多岐にわたるジャンルで活躍する著名人をゲストに招き、彼らの内面に迫ったり、設定されたテーマについて掘り下げたりするトークが展開されました。単に話題の人物を追うのではなく、番組独自の切り口でゲストの魅力を引き出すスタイルが追求されました。

番組はトークを中心に構成されつつも、個性的なレギュラーコーナーが彩りを添えていました。

• - ドリアン助川（現：TETSUYA、明川哲也）による詩の朗読: ミュージシャンであり詩人でもあるドリアン助川が、心に響く詩を感情豊かに朗読するコーナーでした。
• - 緒川たまきによる写真のコーナー: 司会の一人である緒川たまきが、自身の写真作品などを紹介するコーナーで、視覚的なアクセントとなりました。
• - 高野寛による演奏: 同じく司会のミュージシャン、高野寛が番組の最後に演奏を披露しました。ゲストがミュージシャンの場合は、高野とのセッションが実現することもありました。
• - 試験に出ない音楽史: 一般的な音楽教科書にはまず登場しない、知られざる音楽ジャンルやアーティストに光を当てるという、番組の「SIDE-B」的な姿勢を体現するコーナーでした。

番組の系譜と終焉

『土曜ソリトンSIDE-B』は、若者向けカルチャー番組という文脈において、かつてNHK教育テレビで放送されていた『YOU』の流れを汲む番組と位置づけられます。一部の雑誌では、「『YOU』の再来」と評されるなど、その独自性と文化的深さが評価されました。しかし、当時のNHKが若者向け番組を概ね1年でリニューアルするという方針や、土曜日と日曜日に分かれていた「ソリトンシリーズ」を統合するといった編成上の都合など、複数の要因が重なり、番組は1年という放送期間で終了しました。この番組で確立された、若者に支持される著名人を深掘りするインタビュー形式は、後継となる『ソリトン』や『トップランナー』といった番組へと引き継がれていくことになります。

YMOとの関連

本番組の歴史において、特に大きな話題となったのが、テクノポップグループとして一世を風靡したイエロー・マジック・オーケストラ（YMO）の元メンバーがそれぞれ出演した回でした。細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の3人が個別の回に登場し、彼らのファンを中心に非常に大きな反響を呼びました。この反響を受け、最終回である第43回は「特集・ソリトン イエローマジック～YMOの足跡」と題されたYMO特集として放送されました。

YMOメンバー出演の流れは、ゲストに電気グルーヴの石野卓球を迎えた回が発端とされています。司会の高野寛が石野卓球と同じ静岡県出身であり、また共にYMOの音楽から強い影響を受けてミュージシャンになったという共通点から意気投合。この盛り上がりに後押しされる形で、翌週には坂本龍一がゲストとして出演しました。これ以降、番組後半にかけて徐々にYMOの他のメンバーや、矢野顕子といった関連アーティストも登場するようになり、番組全体がYMO色が強い内容となっていきました。この時期はYMOが活動を再開していませんでしたが、番組での特集やメンバーの相次ぐ出演は、その後のYMO再評価の機運を高める一助となったと言えます。

主な出演者

• - 司会: 高野寛、緒川たまき
• - ナレーター: 福士秀樹

関連情報

番組内容をまとめた関連書籍として、高野寛が編著を務めた『土曜ソリトンSIDE-Bリターンズ』（アスペクト刊）が出版されています。

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