土棚 (藤沢市)

土棚（つちだな）

神奈川県藤沢市の北部に位置する大字です。

地理

土棚地区は、藤沢市の北端近く、相模野台地上に広がり、引地川とその支流である一色川に挟まれた一帯を占めています。綾瀬市南部から藤沢市北部にかけて広範に点在する「土棚」の名を持つ地域の中で、藤沢市側の最南端に位置しています。地域の面積の大部分はいすゞ自動車藤沢工場の広大な敷地が占められており、この工場の存在が地域の性格を大きく決定づけています。

周辺地域との境界としては、南を円行、西から南西にかけては湘南台や下土棚と接しており、さらに西側は葛原と境を接しています。北側は、わずかな距離を隔てて綾瀬市の上土棚南地区にも隣接しています。葛原との境には横須賀水道が通過していますが、その経路の多くはいすゞ自動車藤沢工場の敷地内にあります。

地名の由来

「土棚」という地名の起源については、複数の説が伝えられています。一つには、引地川による浸食作用で形成された関東ローム層の断崖が、まるで「土の棚」のように見えたことに由来するという説があります。また別の説では、中世の武将である大庭景親と渋谷重国がこの地で争った際に、戦のために引地川を堰き止めた結果、土砂が堆積して棚状になった様子から名付けられたという説もあります。

歴史

古くは高座郡の一部であり、平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて成立した渋谷荘の領域に属していました。江戸時代以前は高座郡下土棚村の一部として扱われ、近代に入り、明治時代の町村制施行に伴い成立した六会村の区域にそのまま含まれることとなりました。

昭和17年（1942年）3月10日には、六会村が藤沢市と合併し、土棚も藤沢市の一部となります。

第二次世界大戦中の昭和19年（1944年）9月1日には、現在の土棚の地に海軍電測学校が設立されました。しかし、終戦後の昭和20年（1945年）9月15日には閉校となります。

戦後、この軍事施設跡地がいすゞ自動車の候補地となり、昭和35年（1960年）3月14日に同社の進出が決定。翌昭和36年（1961年）にはいすゞ自動車藤沢工場が建設されました。この工場の進出は、この地域の性格を大きく変え、藤沢市北部を代表する工業地帯の中核として発展を牽引することになります。

いすゞ工場の建設は、周辺地域の大規模な区画整理事業を進める契機ともなり、今日の湘南台、円行、そして石川北部といった地域の市街地形成の礎が築かれました。地域の産業構造は工場を中心としたものとなり、関連企業も多く立地しています。

現代の状況

近年の統計情報によれば、土棚地区には一定数の世帯と人口があり、その推移に関する統計データも存在します。また、経済センサス調査からも、地域の事業所数や従業員数に関する情報が示されており、工業地帯として活発な産業活動が行われている様子がうかがえます。

交通

土棚地区内には鉄道路線は通っておらず、鉄道を利用する場合の最寄り駅は、小田急江ノ島線、相模鉄道いずみ野線、横浜市営地下鉄ブルーラインが乗り入れる湘南台駅となります。

バス路線としては、いすゞ自動車藤沢工場へ通勤する従業員向けの専用バスが、湘南台駅西口との間で運行されています。

道路については、都市計画道路である土棚石川線や石川下土棚線などが地区内を通っています。

主な施設

藤沢市建設資源リサイクルセンター
いすゞ自動車藤沢工場
いすゞ車体（本社）
いすゞテクノ（本社）
藤沢高等自動車学校
横須賀水道（通過）

その他

郵便番号は252-0806であり、集配業務は藤沢北郵便局が担当しています。

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