在ブラジル日本人同仁会

在ブラジル日本人同仁会の歴史と活動

在ブラジル日本人同仁会は、1924年から1942年までブラジルで活動していた慈善団体であり、日本移民の医療と衛生問題に深く関わりました。創立当初は、日系人の多くがまだ医療のアクセスが乏しい地域に暮らしていたため、巡回診療やワクチンの無償配布、毒蛇の抗血清の提供など、地域の健康を守るためのさまざまな活動を行いました。

設立の背景と初期活動

1921年に、在サンパウロ日本国総領事の藤田俊郎が日系人の衛生状態の悪さを懸念し、帰国において医療衛生対策を要請。この動きを受けて、1923年には医学留学生をリオデジャネイロの大学へ派遣し、翌年2月27日に同仁会が設立されました。設立から数年は、巡回診療を通じて主に衛生教育や病気の予防に尽力し、特に無医村の住民にとっては重要な存在となりました。

たとえば、マラリアや十二指腸虫の撲滅運動、トラホームの検査を行い、家庭用の常備薬を提供するなど、広範な医療サービスを展開しました。1930年代には健康相談所や夜間診療所も開所し、地方医局の設立によって地域医療の基盤を強化しました。

日本病院の建設

1940年、日本病院（サンタクルス病院）の開院に向けて大きな進展がありました。この病院は日系コミュニティの力で建設され、サンパウロ市においてブラジル有数の医療機関として機能することを目指しました。内山岩太郎総領事の呼びかけにより、多くの日本人医師も参加し、病院の設計や建設に関与しました。1938年に起工式が行われ、1940年には正式に開院される運びとなります。

終焉とその後の影響

しかし、1941年の太平洋戦争の勃発により、ブラジルに住む日本人社会は厳しい状況に置かれることとなりました。1942年には全ての事業が停止され、同仁会は解散を余儀なくされました。病院も国家の管理下に置かれ、日本人の手を離れます。このような極限の環境の中でも、日系人たちは医療サービスの提供を続けようと努力し、戦後も診療所の設立を通じて日系社会の医療を支えました。

現在の姿

現在、サンタクルス病院は日系社会の重要な基盤として機能しており、運営はサンタクルス日伯慈善協会によって行われています。日本移民たちの苦しい歴史を背負いながらも、医療の提供という重要な役割を果たし続けることになりました。こうした活動を通じて、在ブラジル日本人同仁会の精神は今なお引き継がれています。

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