在ペルー日本大使公邸占拠事件

在ペルー日本大使公邸占拠事件

この事件は、1996年12月17日の夜にペルーのリマで発生しました。青木盛久駐ペルー日本国特命全権大使が主宰する天皇誕生日の祝賀レセプション中に、左翼ゲリラ組織トゥパク・アマル革命運動（MRTA）の武装集団が公邸に侵入し、622名の人質を取ります。

襲撃の経緯

事件は、MRTAのリーダーであるネストル・セルパが先導し、現地時間の午後8時過ぎに空き家だった公邸の塀が爆破され、14名の武装者が侵入しました。人質には日本大使館員やペルー政府の高官、外国の大使、企業の駐在員などが含まれていました。MRTAは「全ての拘留者の釈放」「安全な脱出と人質の同行」「フジモリ政権の経済政策の見直し」などの要求を掲げました。

人質の解放と報道

事件が発生すると、日本の外務省や警察庁が迅速に現地に向かい、メディアもこの事件に注目しました。報道は過熱し、青木大使の息子はこの騒動から逃れるために自宅待機を命じられました。事件の進展に対して、ペルー政府は武力介入と平和的解決の2つの方法を模索し、日本からの圧力も影響を与えました。特に、平和的解決を支持する姿勢が明確でしたが、最終的には武力解決が選ばれます。

武力解決に向けた準備

1997年1月、フジモリ大統領の意向により、ペルー治安当局は突入計画を開始しました。その一環として、特殊部隊の訓練が行われ、トンネルの掘削作業も進められました。このトンネルは後に実際の突入時に使用されることになります。

交渉の試み

2月には、MRTAとの直接交渉が始まりました。ペルー政府代表と赤十字国際委員会の代表が参加し、条件付きでの解決を目指しましたが、MRTA内部での意見対立もありました。また、フジモリ大統領はキューバへの亡命案も提案しましたが、最終的にはこの案も却下され、平和的解決の道は閉ざされました。

チャビン・デ・ワンタル作戦

1997年4月22日、ペルーの海軍特殊部隊が公邸に突入し、71名の人質を救出しました。この作戦では、事前に掘削されたトンネルを活用しました。突入当日は、MRTAメンバーがサッカーを楽しんでいる中、突入が行われましたが、混乱の中で逃げ遅れた人質もいました。最終的には人質の大半が無傷で解放されましたが、数名の犠牲者も出ました。

事件後の影響

この事件により、MRTAは大きな損失を被り、寡占状態に陥りました。一方、日本はペルー政府の対応を賞賛しましたが、後日、MRTAの投降者の処刑に関する疑惑も浮上しました。事件の影響は大きく、心理学では「リマ症候群」と呼ばれる新たな現象が話題に上がるなどしました。

結論

在ペルー日本大使公邸占拠事件は、国際的なテロリズムに対する一つの警鐘となり、多くの人質が無事に解放されたことは幸いでしたが、これにより日本の外交や安保政策に影響を与える結果となりました。

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