在台朝鮮人

在台朝鮮人：台湾における朝鮮民族の歴史と現状

台湾に居住する朝鮮民族、いわゆる「在台朝鮮人」は、複雑で興味深い歴史を歩んできました。そのルーツは、日韓併合時代の米騒動にまで遡ります。1918年、日本による朝鮮半島の米の移入と農地開発は、多くの朝鮮人農民の生活基盤を奪い、日本本土や台湾への移住を余儀なくさせました。

彼らは主に基隆などの港町に定住し、漁業に従事して生計を立てました。しかし、当時、台湾における戸籍制度は整備されておらず、日本統治下においても、朝鮮人住民は日本人と同様に寄留人の扱いを受け、内台結婚は事実上禁止されていました。一方、朝鮮半島では、朝鮮戸籍令の施行により、内鮮結婚が可能となっていた点が対照的です。

1900年から1939年にかけては日韓間の貿易が盛んに行われ、1937年からは軍事産業の生産も活発化しました。第二次世界大戦中は、一部の朝鮮人が台湾から徴兵されました。日本の敗戦後、約1300人の朝鮮人兵士と約2000人の一般朝鮮人が、朝鮮半島への送還を計画されましたが、1946年までに400～500人ほどが台湾に残留することとなりました。

戦後、中華民国政府は、居住許可の条件を厳しく設定し、エンジニアや役人など、戦後復興に貢献できる技術を持つ人々だけが、居住カードを取得できました。残留朝鮮人は1947年に「台湾韓僑協会」を設立し、互いに支え合いながら生活を営みました。政府の方針により、漁業から農業や商業への転業を余儀なくされた人々も多く、基隆から台北や高雄といった都市部へ移住するケースも増加しました。

教育面では、1961年に高雄韓国学校、1962年には台北韓国学校が開校しました。これらの学校は、在台朝鮮人の子どもたちに韓国の教育を提供する重要な役割を果たしてきました。2007年時点では、高雄韓国学校に28人、台北韓国学校に50人の生徒が在籍していました。

2011年の外交部発表によると、在台朝鮮人の人口は約3968人で、2009年と比較して約26％増加していました。この増加は、台湾社会における朝鮮人社会の拡大を示唆しています。

著名な在台朝鮮人として、韓国の元バスケットボール選手である李亨淑氏や、韓国の女優である柳河娜氏などが挙げられます。

在台朝鮮人の歴史は、植民地支配、戦争、そして移住という複雑な出来事と、その後、台湾社会への統合というプロセスを反映しています。彼らの経験は、歴史的背景と社会変化の両面から、台湾と韓国、そして日本との関係を理解する上で貴重な視点を与えてくれます。今後の研究によって、在台朝鮮人の歴史と文化、そして台湾社会への貢献がさらに明らかになることが期待されます。

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