朝鮮民族

朝鮮民族の概要

朝鮮民族（ちょうせんみんぞく、朝: 조선민족）は、朝鮮語を基本とした民族であり、主に朝鮮半島に広がる大韓民国（韓国）と朝鮮民主主義人民共和国（北朝鮮）に住んでいます。韓国ではこの民族を韓民族（韓: 한민족）と呼び、両国で異なる呼称ながらも、どちらも約8000万人の人口を誇ります。人口の内訳として、韓国は約5200万人、北朝鮮は約2500万人、さらに韓国系アメリカ人やカナダ人、オーストラリア人なども含まれます。

歴史的経緯

朝鮮民族のルーツは、先史時代の朝鮮半島にまで遡ります。遼河文明圏に属するウラル系民族がその基層に影響を与え、各種族が共存していた先古代には、倭人や扶余系、濊貊系の民族が住んでいました。歴史が進むにつれ、古代国家が興起し、百済や新羅、高句麗といった三韓時代における国々が形成されました。これらの国々は、互いに争いながらも独自の文化を育んできました。

13世紀にモンゴル帝国の支配が始まると、民族意識が統合されるきっかけとなり、朝鮮民族の形成が進みました。この時期には、文献『三国史記』が編纂され、民族のアイデンティティが強化されました。朝鮮民族の祖先は、漢族や満洲族、倭人などの外部民族からも影響を受けつつ、独自の文化を築き上げました。近世以降、日本による統治や植民地時代が続いたため、民族意識はより一層強固なものとなりました。

現代の状況

しかし近年、北朝鮮は韓国との関係に変化が生じており、2023年には韓国を「南朝鮮」と呼ぶようになり、体制への意識も変わりつつあります。これにより、先祖の一体感や統一政策に対する考え方が変化し、2024年には「韓国とは同じ民族ではない」との宣言が行われました。

言語と文化

言語は朝鮮語を使用し、文字はハングルを採用しています。文化面では、中国の儒教や漢字、さらには日本の統治時代の影響を受けていますが、キムチや焼肉といった独自の食文化、さらには韓服などの服飾文化も発展しました。また、音楽としてはパンソリやタルチュムが特に有名です。

南北の分断

朝鮮半島は冷戦期以降、南北に分断され、現在も終戦状態が続いています。軍事境界線は厳重に管理されており、交流の機会は限られています。このため、両国民が互いに同じ民族意識を共有しつつも、国際情勢や政治的圧力により関係が複雑化しています。

在外朝鮮民族

朝鮮民族は国外にも多くのコミュニティを形成しています。中国の吉林省には約200万人の朝鮮族が住み、またウズベキスタンなど中央アジアには約110万人の朝鮮系住民が存在します。アメリカやカナダ、オーストラリアなどにも移住した韓国系の人々が確固たるコミュニティを築いており、彼らは「コリア・タウン」として知られています。

結論

朝鮮民族は濃厚な歴史的背景と文化を持ちながら、現代においても国際的な影響の中でアイデンティティを確立し続けています。民族意識や郷土意識が強い一方で、南北分断や移民の影響など、多様な要素が絡み合っています。

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