在日シリア人

在日シリア人とは

在日シリア人とは、日本に一定期間在住するシリア国籍の人々、またはシリアにルーツを持つ人々のことです。シリア内戦の影響で日本へ避難してきた人々の増加に伴い、その存在が注目されるようになりました。

概要

2011年に始まったシリア内戦により、多くのシリア人が国外へ避難しました。日本へ逃れてきた人も少なくありません。内戦前の2010年末には188人だった在日シリア人は、2017年末には631人へと増加しました。これは、アラブ諸国の中ではエジプト、サウジアラビアに次いで3番目に多い数です。

シリアは中東地域の中でも日本語教育が比較的盛んであるため、日本へ留学した経験を持つ人もいます。留学後、様々な理由で帰国できず、日本に滞在している人もいます。

在留資格別に見ると、最も多いのが「特定活動」で、これは難民認定申請中の人々が含まれます。次いで「家族滞在」、さらに「留学」、「永住者」となっています。地域別では、兵庫県、東京都、大阪府、京都府に多く、特に関西圏と首都圏に集中しています。また、埼玉県蕨市や川口市周辺には、トルコ国籍のクルド人難民が多く住んでいますが、近年ではシリア出身のクルド人も難民として定住し始めています。

言語はアラビア語やクルド語が使われることが多いですが、宗教はイスラム教の他にキリスト教を信仰している人もいます。

シリア難民

近年、多くのシリア人が日本で難民申請を行っていますが、難民として認定されるケースは非常に少ないのが現状です。約60人が申請したものの、難民として認められたのはわずか6人にとどまりました。一方で、38人が人道的配慮から一時的な在留許可を得ています。しかし、これらは難民としての認定ではなく、就労を目的とした側面が強いとされています。

シリア内戦の影響で国外に逃れた難民は400万人以上とされています。世界各国が難民受け入れを表明する中、日本の受け入れ態勢は極めて消極的だと批判されています。国際連合難民高等弁務官事務所（UNHCR）からも、先進国である日本に対し、シリア難民の受け入れに協力するよう要請が出されています。

在日シリア人・シリア系日本人

日本で活躍するシリアにルーツを持つ人々もいます。

龍園ラムル：漫画家。シリア人と日本人のハーフです。
晶エリー（新井エリー、照沼ファリーザ、大沢佑香）：AV女優、AV監督、写真家。父親がシリア人、母親が日本人です。
* 松村マハ：アルジャジーラ東京支局レポーター。父親がシリア人、母親が日本人です。

これらの人々は、それぞれの分野で才能を発揮し、日本とシリアの文化の架け橋となっています。

まとめ

在日シリア人は、内戦という悲劇を背景に、日本で新たな生活を築いています。難民認定のハードルの高さや、日本社会との文化的な違いなど、様々な課題を抱えながらも、懸命に生きる彼らの姿は、私たちに多くのことを教えてくれます。

日本とシリアの関係は複雑ですが、相互理解を深め、共に平和な未来を築いていくことが大切です。

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