クルド語

クルド語とは

クルド語は、中東地域に居住するクルド人によって話されている言語です。言語学的にはインド・ヨーロッパ[[語族]]のイラン語派に属し、ペルシア語などと同じグループに分類されます。しかし、クルド語は独自の特徴を持ち、多様な方言が存在します。

言語分布と方言

クルド語は、トルコ、イラク、イラン、シリア、アルメニア、アゼルバイジャンなどの地域で広く話されています。主な方言としては、以下のものがあります。

クルマンジー（北部クルド語）: トルコ東部、シリア、イラク北部、カフカース地域で話されており、約1500万人の話者がいます。イラクでは「バフディニー」とも呼ばれます。
ソラニー（中部クルド語）: イラクのクルディスタン地域やイラン西部で話されており、約600万人の話者がいます。
南部クルド語: イラン西部のケルマンシャー州やイーラーム州、イラクの一部で話されており、約300万人の話者がいます。

クルマンジーとソラニーは文法が大きく異なり、相互理解が難しいとされています。そのため、言語学的には別の言語として扱われることもあります。また、ザザキ語やゴラニ語もクルド語と関連があると考えられていますが、独立した言語として分類されることもあります。

各国の言語政策

クルド語は、歴史的な背景から各国で異なる言語政策の影響を受けてきました。

トルコ: かつてはクルド語の使用が禁止され、トルコ語の方言であるとされていました。現在では放送や出版が認められています。
イラン: クルド語をペルシア語の方言とみなしていますが、国内での使用は自由です。
シリア: クルド語の存在を認めていませんが、国内での使用は自由です。
イラク: クルド人自治区では公用語とされ、放送や出版も公認されています。

文字と表記

クルド語の表記には、主にアラビア文字とラテン文字が用いられます。旧ソ連地域ではキリル文字も使用されていました。

アラビア文字: 主にソラニー方言で用いられ、母音も表記されます。
ラテン文字: ハワル式表記と統一クルド語アルファベット（Yekgirtú）の2種類があります。ハワル式はクルマンジー方言向けに作られており、ソラニー方言の音を全て表記することはできません。

クルド語版ウィキペディアでは、アラビア文字とラテン文字（ハワル式）の自動切り替え機能が利用可能です。

関連情報

クルド語についてより深く知るためには、以下の情報源が参考になります。

山口昭彦 編『クルド人を知るための55章』明石書店
吉枝聡子『クルド語はどんな言葉か――クルド語のいま』
NPO法人「地球ことば村」公式サイト クルド語
* 一般社団法人日本クルド友好協会

また、エスノローグやLL-Map、MultiTreeなどのデータベースで、クルド語に関する詳細な情報や統計データを確認することができます。

クルド語は、多様な歴史的・文化的背景を持つ言語であり、今後もその研究と発展が期待されます。

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