在留特別許可

在留特別許可とは

在留特別許可（略称：在特）は、不法残留や不法入国などにより日本に不法滞在している外国人が、法務大臣の裁量によって特別に在留を許可される制度です。本来、不法滞在者は日本から退去強制される対象ですが、出入国管理及び難民認定法（入管法）第50条に基づき、法務大臣の判断で在留が認められる場合があります。

許可の判断基準

在留特別許可は、法務大臣の自由裁量によって判断されます。許可を与えるか否かは、不法滞在者の在留希望理由、家族状況、日本での生活歴、人道的配慮の必要性などを総合的に考慮して決定されます。

入国審査官によって退去強制対象と認定された場合でも、その認定を不服とする場合は、特別審理官による口頭審理で再審査を求めることができます。さらに、その結果にも不服がある場合は、法務大臣に異議を申し立て、最終的な判断を求めることが可能です。

異議申し立てが認められない場合でも、以下のいずれかに該当する場合は、法務大臣の裁量により在留が許可されることがあります。

永住許可を受けている場合
かつて日本国民として日本に本籍を持っていたことがある場合（日本籍離脱者や特別永住資格者）
人身売買などにより他人の支配下に置かれた状態で日本に在留している場合
その他、法務大臣が特別に在留を許可すべきと認める事情がある場合

ガイドラインと近年の動向

法務省入国管理局は、2009年7月に「在留特別許可に係るガイドライン」を改訂し、許可基準を明確化しました。このガイドラインでは、10年以上日本に在住し、小中学校に通学する実子を養育している場合などは、在留を許可する方向で検討されることが示されています。

2023年8月には、日本で生まれ育った18歳未満の在留資格がない子どもたちが一定の条件を満たした場合、法務大臣の裁量で在留を認める方針が政府によって決定されました。また、2024年3月には、出入国在留管理庁が在留特別許可に関する新たなガイドラインを公表し、改正入管難民法の施行と同時に運用が開始されました。

許可数の推移

近年、不法滞在者数の減少に伴い、在留特別許可の件数も減少傾向にあります。許可の判断においては、日本人との婚姻などによる身分関係や、日本での生活基盤の状況が考慮されています。退去強制事由別に見ると、不法残留者が最も多いですが、不法入国・不法上陸者や刑事罰法令違反者にも許可が与えられています。

まとめ

在留特別許可は、不法滞在状態にある外国人にとって、日本での在留を可能にする重要な制度です。法務大臣の裁量によって判断されるため、個々の状況に応じた柔軟な対応が期待されます。しかし、許可されるためには、日本での生活状況や家族関係、人道的配慮の必要性など、様々な要素が考慮されます。制度の利用を検討する際には、最新のガイドラインや専門家への相談を推奨します。

参考資料

「在留特別許可された事例及び在留特別許可されなかった事例について」, 法務省入国管理局, 平成22年4月.
在留特別許可に係るガイドライン | 出入国在留管理庁

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