在香港日本人

香港在住日本人の概要

香港に住む日本人は、主にビジネス関係者とその家族で構成されていますが、近年は独身女性の居住者も増加傾向にあります。2021年の調査によると、香港には1万人以上の日本人が居住しており、その多くが東区や九龍城区に集中しています。その他の居住地域としては、太古城や紅磡などが挙げられます。

歴史

始まり

日本人の香港への移住は、江戸時代末期の鎖国解除直後から始まりました。日本と香港、上海間の定期船就航に伴い、商人やからゆきさんたちが海外へ渡航するようになりました。1880年までに、香港には26人の日本人男性と60人の女性が移住し、明治時代末期にはその数は200人に達しました。

反日感情の高まり

1931年の満州事変勃発を契機に、香港では日本人と中国人の間で緊張が高まりました。中国の新聞記者が反日記事を掲載し、国民党政府が9月23日を「国恥記念日」と制定したことで、反日感情が激化しました。この日には、日本人経営のパブが投石被害に遭い、日本人学校の日章旗が燃やされる事件が発生。日本人家族へのリンチ事件も発生し、山下一家6人が中国人男性に襲われ、両親と祖母、子供2人が亡くなるという痛ましい事件も起きました。これにより、植民地政府は軍隊を派遣し、非常事態宣言を発令。この事件は第一次上海事変の引き金の一つになったとも言われています。

日本による占領

反日暴動後、約10年間は日本人の流入は減少しました。香港本願寺小学校は運営を継続しましたが、日英開戦と香港の戦いにより、香港在住の日本人の数は80人にまで減少しました。通常、日本人の移住は、満州国のように軍隊に付随する形で行われますが、香港の場合は少数の官僚を除いて、移民の流入はほとんどありませんでした。

イギリス降伏後、香港は日本軍の占領下に置かれ、経済は壊滅的な打撃を受けました。特に軍票問題は、現在でも香港における反日感情の根源の一つとなっています。しかし、日本人と中国人市民の関係は必ずしも悪いものばかりではなく、法廷弁護士だった余叔韶は、自身の回顧録で国民学校の校長から支援を受けたことを語っています。

戦後

第二次世界大戦後の復興に伴い、日本の海外投資が活発化し、香港に住む日本人は増加しました。1966年には香港日本人学校が設立され、1987年には日本語新聞『香港ポスト』が創刊されました。

1981年から1999年の間に、香港の日本人人口は約7,800人から23,000人へと約3倍に増加し、ロンドンやニューヨークと似た傾向が見られました。日本企業の進出も増加し、1988年から1994年の間に、その数は1,000社から2,000社へと約2倍に増加しました。現在、香港は中華圏の都市の中で、上海に次いで在留日本人の多い都市となっています。

まとめ

香港の日本人コミュニティは、歴史的に様々な困難を経験しながらも、戦後の経済成長とともに発展を遂げてきました。現在では、ビジネス、教育、文化など様々な分野で香港社会に貢献しています。

脚注

香港ポスト
香港日本人学校

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