地下ダム

地下ダムとは

地下ダムは、透水性の地層から不透水性の地層に向かって設置された地中壁を用いて、水を貯める構造を持つダムです。これにより、周辺地域での水の利用が容易になる一方で、遠く離れた地域では水の流れに影響を与えることがあります。

地下ダムの構造

地下ダムは、地表面から不透水層に向けて連続して設置されるグラウトと呼ばれる材料を使用した止水壁で構成されています。この地中壁は、囲い込む形で築かれ、方形や馬蹄形の形状を持つことがあります。こうした構造により、囲まれた透水性の地層内では地下水が蓄えられ、地下水位が上昇することでダムとしての機能を発揮します。

地下ダムの種類

地下ダムには主に2つのタイプがあります。

サブサーフェイスダム

このタイプは、帯水層内に水を通さない材料で造られた地中壁を設けるものです。地表の直下に構築され、壁によって地下水の流れが制御され、地下水が溜まりやすくなります。この結果、井戸から容易に水を汲み上げることができるようになります。

サンドストレージダム

このダムは、水の流れを利用して水位を上昇させることを目的としたものです。通常、砂漠やオアシスの近くに設置され、地表を流れる水よりも高い堤体が必要です。設計上この堤体が堅固であれば、貯水によって堆砂が発生し、蒸発を妨げます。貯めた水は、ダム本体やパイプを通じて地上に引き出され、農業用の灌漑などに利用されます。

地下ダムの目的

地下ダムは、その設計や使用目的に応じて異なる機能を持つことがあります。たとえば、透水性の地層からの地下水の流出を防ぐために造られる堰上げ地下ダムや、過剰な地下水の汲み上げによる塩水の侵入を防ぐ塩水阻止型地下ダムなどがあります。特に海岸近くでは、地下水の蓄積と塩水の侵入防止の機能が重なり合うことが多いです。

施工地域

地下ダムは、特に水源が少ない小規模な島や乾燥した地域に見られます。アフリカ北東部やブラジル、アメリカ南西部、メキシコ、インド、日本の離島など、世界中で多くの例があります。日本では、主に沖縄県や鹿児島県の石灰岩質の離島に設置されており、国庫補助事業によって数多くの地下ダムが建設されています。中国や台湾の一部地域でも見られ、国際的な支援を受けているプロジェクトも存在します。

まとめ

地下ダムは、限られた水資源を効率的に管理し、地域の水供給を安定させるための重要な手段です。特に乾燥した環境や水の乏しい地域において、地下水を貯めることで生活や農業を支える役割を果たしています。

もう一度検索