地下請

地下請（じげうけ）とは

地下請とは、中世日本において、村落が荘園や公領への年貢徴収を領主から請け負っていた制度です。この制度は、惣村請（そうそんうけ）や百姓請（ひゃくしょううけ）とも呼ばれていました。

地下請成立の背景

日本の荘園公領制では、年貢の徴収権は本来、領主が持っていました。しかし、鎌倉時代に入り、地頭が荘園や公領の支配に進出するようになると、現地の地頭、またはその代官に年貢徴収を請け負わせる「地頭請」という制度が生まれました。地頭請では、地頭は豊作や凶作に関わらず、一定額の年貢を領主に納める義務を負っていました。

このような流れの中で、南北朝時代以降、畿内とその周辺地域で自治権と連帯意識を高めた百姓たちによる「惣村」が成立していきます。そして、この惣村も領主と交渉し、年貢徴収の請負権を獲得するようになったのです。これが「地下請」です。

地下請の仕組み

地下請を行う惣村は、毎年一定額の年貢を領主に納めていました。領主側から見ると、自らが年貢を徴収する場合と比べて、凶作時のリスクを回避でき、徴収にかかるコストも軽減できるという大きな利点がありました。一方、地下請の実施は、被支配者である惣村が支配者からの信頼を得るに至ったことを意味します。

そのため、惣村は支配者の信頼に応えるため、村の中で年貢の割り当てを行い、割り当てを満たせない構成員には惣掟に基づいた罰則（財産没収など）を設けるなど、年貢納入の確実な履行に努めました。

地下請の継続と影響

地下請は、室町時代から安土桃山時代まで継続し、江戸時代の村請へと引き継がれていきました。この制度は、中世社会における村落の自治と共同体意識を高める上で重要な役割を果たしたと言えるでしょう。また、年貢徴収のあり方を変え、後の時代にまで影響を与えることになりました。

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