地域政党いわて

岩手県において活動を展開した、かつて存在した地域政党です。「地域主権」と「住民目線」を重視する地方政治の実現を目指し、県議会や市町村議会に一定数の議席を有していた時期もありました。京都党など、他の地域で活動する地域政党との連携も積極的に行いました。しかし、結党から数年で活動を休止し、最終的に解散に至りました。

沿革

「地域政党いわて」は、2010年4月16日、岩手県議会の会派「政和・社民クラブ」所属の県議5名と奥州市議会議員1名によって設立されました。同月25日には政治団体として県選挙管理委員会に届け出を行い、活動を開始しました。結党間もない同年7月には、参議院選挙と同時に実施された県議会盛岡市選挙区の補欠選挙において、公認候補を当選させるなど、初期には一定の勢いを示しました。

2011年3月11日に発生した東日本大震災に対しては、党内に震災対策本部を設置して被災地支援に取り組み、7月には復興に向けたマニフェストを発表しました。同年7月29日には、所属していた高橋博之県議会議員が岩手県知事選挙への無所属での立候補を表明。これに伴い高橋氏は議員を辞職し、党籍を離れました。知事選では、地域政党いわてのほか、自民党や社民党などで組織された「いわて復興県民の会」の推薦を受けましたが、現職候補に敗れる結果となりました。

知事選と同時に実施された県議会議員選挙では、擁立した7名の候補者のうち現職4名のみが当選にとどまりました。これにより、改選前に比べ議席を1つ減らしたものの、県議会における第3党の地位は維持しました。しかし、翌2012年7月、民主党会派を離脱した議員らによって新たな会派「希望・みらいフォーラム」が結成されると、議席数でこれを下回り、県議会で最小の「交渉団体会派」である第4党となりました。

党勢の衰退も見られ、2012年8月には花巻市議と奥州市議の各1名が離党し、別の花巻市議1名は除籍処分となりました。また、来るべき衆議院議員選挙に関しては、単独候補の擁立は難しいとの見通しを示しつつ、特定の政党への推薦や支援は行わない一方で、候補者個別の支援の可能性は排除しないとの方針を表明しました。党幹部からは、他党からの立候補要請を断った事例も明らかになりました。

2013年9月には、所属県議会議員1名が離党届を提出し、後に除籍処分となりました。この除籍により、県議会での議席数が交渉団体会派の要件を満たせなくなり、交渉団体会派としての資格を喪失しました。同月には、民主党を離党した議員らと新たな会派「いわて県民クラブ」を結成しましたが、これ以降、地域政党いわてとしての党の活動は事実上停止状態となりました。そして、2015年5月1日に「いわて県民クラブ」が政治団体として届け出を行ったのを機に、地域政党いわては正式に解散しました。

政策

結党時の宣言では、中央政党の都合に左右されず、地域住民を地方政治の主体と捉え、その視点で行う地域政党こそが現代の要請であると謳われました。「岩手の岩手による岩手のための自治」を確立し、真の意味での「住民主権」と「活きた民主主義」の実現を目指す運動の発展を理念としました。

具体的な政策としては、8つの「岩手をなんじょにがする基本政策」を掲げ、地方議会改革、地域の実情に合わせた農業政策の確立、地域医療問題への対応など、地域に根差した課題解決に焦点を当てていました。

他の地域の地域政党との連携も重視し、2011年6月には京都市の地域政党である京都党と連携協定を結びました。これは、地域主権改革の推進や、震災で打撃を受けた観光産業などの復興支援において、相互に協力することを目的としたものです。

綱領

党が掲げた政治姿勢と政策の基本方針、そして地域主権に関する考え方は以下の通りです。

私たちの政治姿勢

1. 自らの考えを発信する、自立した地方政治の実現
2. 首長と議会が住民のために競い合う「善政競争」の推進

私たちの政策の基本方針

3. 住民の声を聞き、下から積み上げる合意形成
4. 岩手ならではの地域特性を活かした政策づくり
5. 無駄をなくし、財政の健全化を図る「脱バラマキ」

私たちの地域主権

6. 地域住民が主役となる「地域主権」の実践的な訓練
7. 郷土への誇りと愛着を育む地域社会の創造

議員

党が活動していた時期に所属していた主な議員は以下の通りです。

岩手県議会（3名）

飯沢匡（一関選挙区）
及川あつし（盛岡選挙区）
工藤勝博（八幡平選挙区）

市議会（1名）

大原たけし（花巻市）

前職・元職の議員（離党・除籍等）

高橋博之（花巻選挙区） - 2011年に岩手県知事選挙出馬のため離党。
亀掛川富夫（奥州選挙区） - 2011年の県議選で落選。
細川宏幸（花巻市） - 2012年に除籍処分。
板垣武美（花巻市） - 2012年に離党。
佐藤邦夫（奥州市） - 2012年に離党。
吉田けい子（盛岡選挙区） - 2013年に除籍処分。

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