地域銀行

地域銀行（ちいきぎんこう）

日本の金融システムにおいて、「地域銀行」という呼称は、特定の銀行群をまとめて指すために用いられます。具体的には、伝統的な地方銀行、かつて相互銀行であった第二地方銀行、そして株式会社埼玉りそな銀行の三者を合わせた概念です。

この用語は、日本の金融行政を担う金融庁が公式な場で使用するようになりました。確認されているものとしては、2014年7月に発表された金融モニタリングレポートの中でこの呼称が使われています。以降、金融庁の公文書や報告書などで広く用いられるようになっています。

さらに、「地域銀行」は法律上も定義がなされています。2018年に制定された「地域における一般乗合旅客自動車運送事業及び銀行業に係る基盤的なサービスの提供の維持を図るための私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の特例に関する法律」では、その第2条第3号において、地域銀行に該当する銀行について規定しています。

この法律における地域銀行の定義は、「主として対面により基盤的サービスを提供している銀行（全国の区域の全部又は大部分において自らが提供している基盤的サービスの全部又は大部分を提供していると認められる者を除く）として主務省令で定める者」とされています。これは、特定の地域に根差して活動し、主に窓口など対面形式で地域住民や中小企業に対して基本的な金融サービスを提供する銀行であり、全国規模で広範なサービスを提供する大手銀行とは性格を異にするという点を明確にしています。

そして、この法律の施行規則では、「法第二条第三号に規定する主務省令で定める者は、金融庁長官が指定する者とする」と定められています。これに基づき、どの銀行が具体的に地域銀行として扱われるかは、金融庁長官の告示によって指定されます。

2020年11月27日付で発出された金融庁告示（令和2年金融庁告示第52号）において、以下の三者が地域銀行として指定されています。

一般社団法人全国地方銀行協会の会員である銀行
一般社団法人第二地方銀行協会の会員である銀行
* 株式会社埼玉りそな銀行

このように、地域銀行は、金融庁の行政文書で使われ始めた呼称が、地域社会における基盤的なサービスの維持を目的とする法律によって正式に定義・指定されるに至った経緯を持っています。地域銀行は、それぞれの地元の経済や社会を支える重要な役割を担っており、地域住民への預金・融資サービスの提供、中小企業への事業資金供給などを通じて、地域経済の活性化や安定に貢献しています。特例法がその基盤的サービスの維持を目的としていることからもわかるように、地域銀行は地域社会の金融インフラとして不可欠な存在です。

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