地方警務官

地方警務官の役割と地位について

地方警務官（ちほうけいむかん）は、日本の都道府県警察において、警視正以上の階級を有する警察官を指します。これは警察法に基づくものであり、彼らは一般職の国家公務員と位置付けられています。この官職の定員は633名に設定されています。

概要

都道府県警察は、各都道府県の公安委員会の管理下に運営されている機関です。法第36条1項や第38条3項に明記されている通り、都道府県警察の職員の大部分は一般地方公務員である地方警察職員ですが、警視正や警視長、警視監、警視総監といった階級を持つ警察官は特別に一般国家公務員として扱われ、このため「地方警務官」と呼ばれています（第56条1項）。また、地方警察職員から昇進した者については「特定地方警務官」とされることもあります。

地位と権限

地方警務官は、警視総監または県警察本部長の指導の下で職務を遂行しますが、その任免権は国家公安委員会に委ねられています（第55条3項）。一方、地方警察職員の任免権については、警視総監または警察本部長が担当しています。国の警察官の任免権は警察庁長官にあるため、警察庁から都道府県警察に派遣された警視正以上の職員は、任免権者が変わることになります。

給与の違い

地方警務官の給与は国庫から支払われるのに対して、地方警察職員の給与は各都道府県から支給されます。このため、一部の都道府県では、地方警察職員から地方警務官への昇進によって実質的に給与が減少するケースが存在し、給与の不整合が問題視されています。また、以前は地方警務官に昇格する際、長期間地方警察職員として勤務した者が一旦辞職し、退職金を受け取った後に地方警務官という形で新たに任職するという煩雑な手続きが必要でした。

地方警務官の職務

警視正は、警察本部における本部部長や主要参事官、警察学校長などの重要な役職に充てられる階級であるため、地方警務官には責任が大きな職務が課せられています。地方警務官制度は、国家公安委員会が地方公安委員会の同意を得て人事を決定することが原則ですが、これまでに地方公安委員会が拒否したケースは無く、実際の人事決定は警察庁によって行われるのが通例です。

警察組織の性格

地方警務官制度は、地方分権や地方自治の観点から批判を受けることがありますが、政府の地方分権推進に関連する委員会からは具体的な提案がなされることはありませんでした。制度の実施により、地方警察は形式上は都道府県の組織であるものの、実質的には国の警察機関としての側面が強く現れています。このため、地方警務官の役割や権限は、地域における警察業務の実施において重要な意味を持っています。

まとめ

地方警務官は、日本の治安維持において中心的な役割を果たす国家公務員です。その職務は多面的であり、警察組織内での階級による役割の多様性が求められています。地方分権の観点からの批判もある中で、彼らの業務は地域社会における安全の確保に貢献しています。

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