地球の太陽面通過 (冥王星)

冥王星から太陽を観測した際、地球が太陽の円盤上を通過していくように見える現象は「地球の太陽面通過」と呼ばれています。これは太陽系内の惑星間で起こる太陽面通過と同様の天文現象ですが、冥王星からの視点という点で特異なものです。

この現象は、太陽系における他の惑星の太陽面通過と比較して、発生頻度が極めて低いという特徴を持っています。その主な理由は、冥王星の軌道が他の惑星の軌道面（黄道面）に対して大きく傾いているためです。地球と太陽と冥王星が一直線上に並ぶ機会が、他の惑星系に比べて少ないことを意味します。

実際に、約25万年間（紀元前125000年から紀元125000年まで）の長期にわたる計算によると、冥王星における地球の太陽面通過の発生回数はわずか2550回程度です。これは同じ期間において、太陽系惑星の中で最も発生回数が少ないとされる火星の太陽面通過（3399回）よりもさらに少ない数値であり、この現象がいかに稀であるかを示しています。

地球の太陽面通過は、数十年から数百年に一度といった非常に長い間隔で発生します。発生のパターンにはいくつかの種類があります。

まず、単独で発生するケースです。直近では2018年7月12日に観測（計算上）されており、次に単独で発生するのは2266年7月16日と予測されています。

次に、約1年と半日という比較的短い期間を置いて、2回連続して発生するペアのケースです。直近でこのようなペアが見られたのは、1930年1月9日とそれに続く1931年1月10日の組み合わせでした。次にペアで発生するのは、2178年1月12日と2179年1月13日になると予測されています。

また、この太陽面通過が発生する月にも周期的な傾向が見られます。長い期間で見ると発生月は少しずつ変化しますが、特定の期間内では、ある月とそこから約半年ずれた月に集中するというパターンがあります。例えば、1683年から3420年までの期間では、発生月は必ず1月か7月でした。さらに古い時代、例えば1523年以前では6月と12月に限定されており、逆に3507年以降の未来では2月と8月のみに発生すると計算されています。

地球の太陽面通過が起こる際、多くの場合、地球の衛星である月も同時に太陽面を通過します。これは、地球と月が冥王星から見て比較的近い位置にあるため、同時に太陽面にかかる範囲に入ることが多いためです。しかし、非常に稀ながら、地球のみが太陽面を通過するケースや、逆に月のみが太陽面を通過するケースも存在します。

地球のみが太陽面を通過した直近の事例は、紀元前1935年6月8日まで遡ります。次に地球のみの通過が予測されているのは、2674年1月18日です。

一方、月のみが太陽面を通過した直近の事例は1770年7月8日です。次に月のみの通過が予測されているのは、遠い未来となる7889年3月30日とされています。

さらに、地球と月だけでなく、他の惑星も同時に太陽面を通過するという、極めて珍しい現象が発生することもあります。

紀元前87416年12月23日には、地球、月、そして火星の三つの天体が同時に太陽面を通過しました。
遠い未来の68693年7月16日には、地球、月、そして金星の同時通過が予測されています。
* 80607年6月23日と86814年9月14日には、それぞれ地球、月、そして水星が同時に太陽面を通過すると計算されています。

このように、冥王星から見た地球の太陽面通過は、その発生頻度の低さ、独特のパターン、そして月や他の惑星との同時通過の可能性など、非常に興味深い天文現象と言えるでしょう。

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