地球の年齢

地球の年齢：45億年の謎解き

地球の誕生から現在までの歳月は、およそ45.4億年と推定されています。この数値は、宇宙から飛来した隕石の分析から得られたもので、科学者たちの長年にわたる研究の成果です。

地球の年齢測定：放射年代測定法

地球の年齢を測定する主要な手法は、放射年代測定法です。岩石や隕石に含まれる放射性同位体の崩壊を利用し、年代を推定します。代表的な手法として、ウラン-鉛法、カリウム-アルゴン法、ルビジウム-ストロンチウム法などが挙げられます。

これらの方法は、放射性同位体が一定の速度で崩壊するという性質に基づいています。例えば、ルビジウム-ストロンチウム法では、ルビジウム87（⁸⁷Rb）がストロンチウム87（⁸⁷Sr）に崩壊する過程に着目します。岩石が形成された時点での⁸⁷Rbの量と、現在の⁸⁷Rbおよび⁸⁷Srの量を測定することで、岩石の年齢を計算します。この計算には、それぞれの同位体の崩壊速度を表す崩壊定数λが用いられます。実際には、複数の同位体比をグラフにプロットし、アイソクロンと呼ばれる直線の傾きから年代を決定する高度な手法が用いられます。

地球年齢推定の歴史：古代から近代科学まで

地球の年齢に関する考え方は、時代とともに大きく変化しました。古代では、世界は永遠に続く、あるいは周期的に再生するという考えが一般的でした。キリスト教圏では、聖書の創世記に基づいて地球の年齢を計算する試みが行われましたが、その結果はせいぜい数千年程度でした。

中世には、地層や天体の動きから、地球の年齢はそれよりもはるかに古いのではないかという考えも出てきました。ジャン・ビュリダンなどは、天体の周期運動説を批判し、地球の年齢が数千年であるという説に疑問を呈しました。

近代科学の勃興とともに、地球の年齢に関する議論はさらに活発化します。デカルトやニュートンらの研究が礎となり、ビュフォンは鉄球の冷却実験に基づいて地球の年齢を推定しました。しかし、これらの推定は地質学的知見とは矛盾し、科学的な裏付けが不足していました。

18世紀後半には、ハットンによる火成説が登場し、地球の年齢が非常に長いことを示唆しました。ライエルの斉一説は、地球の変動が過去から現在まで一様に続いていると主張し、地球の悠久の歴史を裏付ける重要な概念となりました。

一方、ケルヴィン卿（ウィリアム・トムソン）は、地球の冷却過程を計算し、地球の年齢を数千万年と推定しました。この数値は、地質学者たちの主張する長い地球史と矛盾し、激しい論争を引き起こしました。

放射能の発見と地球年齢の再評価

19世紀末の放射能の発見は、地球年齢の研究に革命をもたらしました。ウランやトリウムなどの放射性元素の崩壊熱が地球の内部熱源となることが明らかになり、ケルヴィン卿の推定は覆されました。

ラザフォードらの研究により、放射性元素の崩壊速度が一定であることが確認され、岩石中の放射性同位体の量を測定することで、岩石の年齢を正確に測定できるようになりました。当初は、ウランとヘリウム、あるいはウランと鉛の比率から年代を推定する方法が用いられましたが、鉛同位体の精密な分析手法が確立されるにつれて、より正確な年代測定が可能になりました。

隕石と地球の年齢

最終的に、地球の年齢の精密な測定には隕石の分析が不可欠となりました。隕石は地球と同じ原始太陽系星雲から形成されたと考えられ、隕石中の鉛同位体の組成を分析することで、地球の年齢を45億年以上と推定できることが分かりました。この研究は、クレア・パターソンらの貢献によって大きく進展しました。

まとめ

地球の年齢の研究は、科学技術の進歩と、様々な分野の研究者たちの努力によって、古代の数千年という推定から、現在の約45.4億年という精密な数値へと進化しました。この研究の歴史は、科学的な探求の過程がいかに複雑で、多くの試行錯誤を経て発展していくかを物語る、貴重な事例と言えるでしょう。

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