地球侵略戦争2150

地球侵略戦争2150：ダーレクとの壮絶な戦いが再び幕を開ける

1966年、イギリスで公開されたSF映画『地球侵略戦争2150』（原題: Daleks' Invasion Earth 2150 A.D.）は、人気テレビシリーズ『ドクター・フー』を原作とする劇場版第2作です。前作『Dr.フー in 怪人ダレクの惑星』に続く、風変わりな発明家にしてタイムトラベラーであるドクター・フーと、邪悪な宇宙侵略者ダーレクとの戦いを描いた作品となっています。

本作は、ゴードン・フレミング監督、ミルトン・スボツキー脚本による、手に汗握る展開が魅力です。主演を務めるのは、怪演で知られるピーター・カッシング。彼に加え、ロバータ・トヴェイ、ジル・カーゾン、バーナード・クリビンスら実力派俳優陣が脇を固めます。物語は、1964年に放送されたテレビシリーズ『ドクター・フー』のエピソード「The Dalek Invasion of Earth」をベースにしていますが、映画オリジナルの要素も加えられています。ダーレクやドクター・フーといったおなじみのキャラクターが登場する一方、テレビシリーズとは異なる設定や展開も取り入れられており、新たな魅力が加わっています。

制作秘話：困難とアクシデントの連続

『地球侵略戦争2150』の制作過程は、決して平坦ではありませんでした。撮影は1966年 1月31日にイギリスのシェパートンスタジオで開始されましたが、カッシングの病気や様々なアクシデントにより、予定よりも11日も遅れて3月22日に終了しています。脚本の修正を余儀なくされた場面もあったようです。

セットでは、ダーレクの宇宙船を襲撃するシーンでダーレクが発火するといったトラブルに見舞われたほか、スタントマンのエディ・パウエルは撮影中に足首を骨折する重傷を負っています。俳優のアンドリュー・キアも、撮影中に手首を怪我するなど、危険と隣り合わせの撮影だったことが伺えます。

制作費は28万6000ポンドと、前作と比較して60%近く増加しました。そのうち5万ポンドは広告費として投じられ、公開に向けた大規模な宣伝キャンペーンが行われたことが分かります。

ダーレク：進化したデザインと役割

本作に登場するダーレクは、当時のテレビシリーズで用いられていたデザインをベースにしながらも、いくつかの変更が加えられています。フェンダー部分が大きく黒色になり、全体は銀色の塗装が施されています。青く塗装された半球やアルミニウムの色も確認できるなど、細部にわたるこだわりが見て取れます。

さらに、リーダー格のダーレクは3体登場し、それぞれ金色、黒色、赤色で塗装されています。金色のダーレクは侵略部隊全体の指揮を執り、黒色のダーレクは採掘作業や爆弾の爆発を管理、赤色のダーレクは人間の捕獲や抵抗勢力の抹殺を担当するなど、役割分担が明確にされています。

タイアップとメディア展開

朝食用シリアル「Sugar Puffs」が本作のスポンサーとなり、映画の様々な場面に同社の製品やロゴが登場します。このタイアップによって、「Sugar Puffs」はダーレクの小道具の使用権を得て、ダーレクをテレビCMに起用するなど、大きな宣伝効果を得ています。

また、コミック雑誌『TV Century 21』では、映画の公開に合わせてダーレクのコミックストリップが連載されました。さらに、『Doctor Who Monthly』や『Doctor Who Magazine』でも、本作に関する記事が掲載されるなど、メディア展開も盛んに行われています。

批評家の評価：賛否両論

公開当時、『The Times』紙などでは、撮影技術の進歩が不足していることや、ピーター・カッシングの演技に対する批判的なレビューが掲載されました。しかし、2013年のブルーレイリリース時には、『StarBurst』誌の評論家から高い評価を受けており、前作よりもスケールが大きく、豪華なロケ地が使用されていることなどが賞賛されています。特に、ダーレクの宇宙船への抵抗軍の攻撃シーンは印象的だと評されています。

ホームメディア：多様なフォーマットでリリース

『地球侵略戦争2150』は、スーパー8mmフィルム、VHS、DVD、ブルーレイなど、様々なフォーマットでリリースされています。日本でもVHSが発売されており、現在でも入手可能な作品です。また、サウンドトラックもCDやレコードとして発売され、多くのファンに楽しまれています。

まとめ

『地球侵略戦争2150』は、制作過程の困難やアクシデントを乗り越えて完成した、スケールの大きなSF映画です。ダーレクのデザインや役割、そして映画全体の展開は、テレビシリーズとは異なる魅力を備えており、多くのファンを魅了し続けています。様々なメディアで展開されたことからも、その人気ぶりが伺えます。現在でも多くのファンから愛される、まさに不朽の名作と言えるでしょう。

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