Dr.フー in 怪人ダレクの惑星

ドクター・フー in 怪人ダレクの惑星：英国SF映画史に残る一作

1965年、イギリスで公開されたSF映画『Dr.フー in 怪人ダレクの惑星』（原題：Dr. Who and the Daleks）は、テレビシリーズ『ドクター・フー』を基にした劇場版作品として、大きな注目を集めました。本作は、シリーズの劇場版第一作であり、カラー作品、ワイドスクリーン作品としても初めて制作されたという点で、英国SF映画史に重要な位置を占めています。

監督はゴードン・フレミング、脚本はミルトン・スボツキーが担当。テレビシリーズとは異なるアレンジが加えられながらも、人気キャラクターであるドクター・フーと、彼を脅かす恐るべき敵、ダーレクが迫力ある映像で描かれています。

キャストとキャラクター

ドクター・フー役には、ピーター・カッシング。他に、ロイ・キャッスル（イアン役）、ジェニー・リンデン（バーバラ役）、ロバータ・トヴェイ（スーザン役）といった豪華キャストが脇を固めます。これらの俳優陣の熱演により、キャラクターたちは個性豊かに生き生きと描かれ、視聴者を物語の世界に引き込みます。さらに、バリー・インハム、マイケル・コールスなど、個性的な脇役たちが物語に奥行きを与えています。

ダーレクの声優陣も豪華で、デイヴィド・グラハム、ピーター・ホーキンスらが、その不気味な声を担当しました。

ストーリーとダーレクのデザイン

物語のベースは、1963年に放送されたテレビシリーズ『ドクター・フー』のエピソード「The Daleks」です。しかし、映画版では、ダーレクのデザインや物語の展開などに変更が加えられています。

映画版のダーレクは、テレビ版よりも大型で、ドームライトは赤色で大きく、機械式の鉤爪が装備されています。また、塗装もカラフルで、標準的なダーレクは青色と金色の組み合わせ、リーダーは黒色、上位のダーレクは赤色で塗装されるなど、視覚的な効果が工夫されています。当初は火炎放射器が武器として計画されていましたが、安全上の理由から二酸化炭素噴射装置に変更されました。

映画に登場するダーレクの一部は、テレビシリーズ「The Chase」で使用されたものをレンタルしたものだと言われています。

制作と公開

本作の製作はAmicusが行い、BBCから製作権を獲得しました。シェパートンスタジオで6週間の撮影が行われ、製作費は18万ポンドにのぼりました。映画の舞台となる惑星は劇中では命名されていませんが、続編『地球侵略戦争2150』で「スカロ」と断定されています。

1965年8月23日にロンドンで公開された本作は、イギリスでは興行収入20位を記録するなど、大きな成功を収めました。しかし、アメリカ合衆国での興行成績は振るわなかったようです。

タイアップ商品とその後

公開に合わせて、塗り絵やコミックといったタイアップ商品も発売されました。特に、Dell Comicsによるコミック版は、映画版ダーレクのデザインを反映したもので注目されました。また、TV Century 21のコミックでは、ダーレクに関する連載が掲載され、映画の宣伝にも貢献しました。

その後も、『ドクター・フー』関連の雑誌などで本作に関する記事が掲載されるなど、長年にわたって愛され続けていることが伺えます。『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ！』という作品にも、本作を思わせるシーンが登場するなど、その影響は多岐に渡っています。

評価とホームメディア

本作への評価は様々です。肯定的な評価としては、セットデザインやダーレクのデザインが印象的であるという意見があります。一方で、ストーリーやピーター・カッシングの演技に対する批判的な意見も多く存在します。

様々なフォーマットでリリースされた本作は、スーパー8mmフィルム、VHS、DVD、ブルーレイなど、多くの媒体で視聴することができます。

まとめ

『Dr.フー in 怪人ダレクの惑星』は、英国SF映画史に重要な位置を占める作品です。カラーワイドスクリーン作品としての先駆性や、人気キャラクターであるドクター・フーとダーレクの魅力、そして豪華なキャスト陣など、様々な点で注目に値する作品となっています。様々な評価が寄せられていますが、時代を超えて人々に愛され続けるSF映画の金字塔として、その価値は揺るぎないものと言えるでしょう。

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