地球地図

地球地図構想：地球規模の地理空間情報整備

地球地図は、世界各国の国家地図作成機関が協力して整備を進めている、地球全体のデジタル地図です。解像度1kmの地理空間情報を網羅し、誰でも安価に利用できるという特徴があります。このプロジェクトは、1992年に日本の国土交通省（当時、建設省）が提唱した地球地図構想に基づいて進められています。

地球地図構想の背景

1972年の国連人間環境会議以降、地球規模の環境問題が国際的な課題として認識されるようになりました。1992年の地球サミットでは、「アジェンダ21」が採択され、持続可能な開発のためには正確な情報が不可欠であることが強調されました。地理空間情報は、環境問題への対策を講じる上で特に重要な役割を果たすと考えられています。

地球地図に含まれる情報

地球地図は、地球上の様々な地理情報を網羅しています。主な項目としては、以下のものがあります。

交通網: 道路、鉄道、航路などのネットワーク
海岸線・行政界: 国境線、州境線などの政治的境界線、海岸線
河川・湖沼: 河川、湖沼などの水系の分布
人口集中域: 人口の密集している地域
標高: 地面の高度
植生: 森林、草原などの植生の分布と樹木被覆率
土地被覆: 土地の状態（例えば、森林、農地、都市など）
土地利用: 土地の用途（例えば、住宅地、商業地、農地など）

これらの情報は、統一された仕様でデジタル化され、世界中で共有できるようになっています。

地球地図構想の推進

地球地図構想は、国連の会議やサミットで繰り返し支持され、国際的な協力体制が構築されています。

1993年：ニューヨークの国連アメリカ地域地図会議で発表され、地球規模の地理空間情報整備推進決議が採択
1994年：北京の国連アジア太平洋地域地図会議でも同様の決議が採択
1996年：地球地図国際運営委員会（ISCGM）が設立され、国土地理院が事務局を務める
1997年：国連環境開発特別総会（UNGASS）で、地球地図を含む国際協力の重要性が強調
1998年：国際連合から世界各国の地図作成機関に地球地図整備への参加呼びかけ
2002年：持続可能な開発に関する世界首脳会議（ヨハネスブルグサミット）で地球地図の推進が実施計画に記述
2008年：第4回アフリカ開発会議で、アフリカ地域における地球地図整備・更新等の技術支援促進が盛り込まれる
2011年：国際連合経済社会理事会で地球地図プロジェクトが地球規模の地理空間情報整備の取組例として紹介

地球地図の活用

地球地図は、環境問題への対策、防災、資源管理、都市計画など、様々な分野で活用されています。正確で詳細な地理空間情報は、持続可能な社会の実現に貢献する重要な基盤となっています。

今後の展望

地球地図プロジェクトは、国際協力の下、継続的に更新・改良されています。より高精度なデータの収集、新しい技術の導入などを通して、その役割はますます重要になっていくでしょう。地球規模の課題解決に貢献する、このプロジェクトの更なる発展が期待されます。

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