地租条例

地租条例とは

地租条例（ちそじょうれい）は、1884年（明治17年）3月15日に太政官布告第7号として公布された日本の税制に関する法律です。この条例は、従来の地租改正条例を廃止し、地租とその税率の法的根拠を定めるもので、全29条から構成されています。

制定の背景

地租改正条例には、将来的に地租を地価の1%まで引き下げるという規定がありました。しかし、地租改正反対一揆や士族反乱、自由民権運動などが起こり、地価や地租の引き上げが事実上禁止される状況となりました。さらに、1885年に予定されていた地価の改訂も実施できない状況でした。

このような混乱を解消するため、政府は地租改正条例の規定を整理し、1885年の地価改訂を実施すること、そして地価改訂と地租増徴の制限を撤廃することを目的として、地租条例を制定しました。

条例の内容

地租条例は、地租改正の混乱を整理し、地価改訂と地租増徴を可能にするための法律でした。具体的には、以下の点が重要なポイントとなります。

地価改訂の実施: 1885年に予定されていた地価改訂を可能にし、地価を適正な水準に見直しました。
地租増徴の制限撤廃: 地租を地価の1%に引き下げるという規定を廃止し、地租増徴を可能にしました。これにより、政府は財政収入を確保できるようになりました。
土地台帳制度の見直し: 1889年には土地台帳制度の見直しに伴う改正が行われました。

これらの措置により、地租に関する法的整備は一応完成しました。

その後の経緯

地租条例は、その後も何度か改正が行われました。主な改正と出来事は以下の通りです。

1889年: 開墾鍬下年期の延長や地目変換時の地価修正などに関する改正が行われました。
1898年: 地租増徴案が衆議院で否決され、解散となるなど、地租増徴を巡り激しい政治的対立が起こりました。最終的には、田畑の地租が地価の2.5%から3.3%に引き上げられました。
1902年～1903年: 地租増徴の継続を巡り、政府と政党の間で激しい対立が起こりました。最終的には、地租増徴継続は中止され、海軍拡張費には鉄道建設費を充てることになりました。
1906年: 北海道に地租条例が施行されました。
1910年、1914年、1926年: それぞれ地租条例の改正が行われました。

廃止とその後

地租条例は、1931年3月31日に公布された地租法によって廃止されました。地租法では、課税基準が地価から賃貸価格に改められました。これにより、地租条例は、その役割を終えることとなりました。

まとめ

地租条例は、明治時代の日本の税制において重要な役割を果たしました。地租改正の混乱を整理し、地価改訂と地租増徴を可能にしたことで、政府の財政運営に貢献しました。また、地租条例を巡る政治的対立は、当時の政治情勢を反映するものであり、日本の近代史を理解する上で重要な要素となっています。地租条例は、その後の日本の税制に大きな影響を与えた法律と言えるでしょう。

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