坂下宿

坂下宿の歴史と魅力

坂下宿（さかしたしゅく）は、東海道五十三次の48番目に位置する宿場町で、三重県亀山市の関町坂下にあります。この宿場は、かつての繁栄を豊かに物語る歴史的なスポットです。もともとここは、鈴鹿峠の難所を前にした宿場町として、旅人たちの重要な休息地でした。

鈴鹿峠を控えた宿場町

江戸中期には、本陣が3軒、脇本陣が1軒、合わせて旅籠が51軒もあり、町並みは5つの町に広がり、宿場の範囲は約1kmに及びました。この時期の坂下宿には、約150戸の住宅が立ち並び、人口は500人を超えていたとされています。鈴鹿馬子唄に謳われた「坂の下では大竹小竹 宿がとりたや小竹屋に」という言葉は、宿込の賑わいを感じさせる一節であり、大竹屋や小竹屋といった宿も旅人たちに親しまれていました。

衰退の歴史

しかし、1650年の9月2日、坂下宿は土石流の災害に見舞われ、宿場は壊滅的な被害を受けます。このため、宿場は幕府の支援により、現位置に約1.3km東に移設されることになりました。その後、1895年には関西鉄道が全通しましたが、鈴鹿峠の勾配が問題とされ、交通の便が減少します。このことが、地域経済に依存していた坂下宿の衰退を招く一因となりました。

現在の坂下宿

現在、坂下宿周辺には国道1号の新道が通るものの、旧街道沿いの民家は少数であり、過疎化が進んでいます。2005年の調査では戸数89軒、人口147人という結果が出ており、この地域の寂しさを物語ります。かつての繁栄を偲ぶための痕跡として、本陣跡を示す石碑がいくつか残されているのみです。

アクセス方法

坂下宿へのアクセスは、JR関西本線の関駅から亀山市のコミュニティバスの西部ルートを利用し、伊勢坂下行きのバスに乗車、終点で下車することができます。かつては三重交通バスがこの地区を通っていましたが、現在は県境を越える運行は行われていません。

歴史的な名所

坂下宿にはいくつかの史跡があります。例えば、松屋本陣跡、大竹屋本陣跡、梅屋本陣跡、小竹屋脇本陣跡などは歴史を感じるスポットです。また、馬の水飲み鉢や鈴鹿峠（海抜375m）も、訪れる価値があります。十楽寺や山中一里塚公園には、詩の句碑や歴史を物語る石碑が立っています。

このように、坂下宿はかつての繁栄が色濃く残る場所であり、歴史を感じながら訪れることで、かつての賑わいを思い起こすことができます。訪問し、足元に広がる歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

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