坂井永年

坂井永年（さかい ながとし）は、1964年7月31日生まれ、静岡市葵区出身のイラストレーター、エアブラシアーティストです。彼の先祖は江戸時代の旗本、坂井成政であり、大叔父は富士山本宮浅間大社の神主であったという由緒ある家系に生まれました。

1歳半の頃から絵を描き始め、3歳になる頃には野菜を擬人化したキャラクターを自作するなど、幼少期からその才能を発揮していました。小学校1年生からは油絵に取り組み、二科展やユネスコなどのコンクールで数々のジュニア部門入賞を果たしました。静岡市立高等学校在学中には、落語家の林家木久扇（当時は林家木久蔵）と出会い、高校卒業後には彼からの紹介でプロデビューを果たしました。

20歳の頃には、「漫画の神様」と称される手塚治虫に絵を見てもらう機会に恵まれました。その際、手塚は坂井の描いた和風の絵を見て「このような絵が描ければ世界で通用する」と評しました。この言葉は坂井の創作活動に大きな影響を与え、浮世絵などの日本的な絵と現代的なイラストレーションを融合させた独自のスタイルを確立する目標となりました。

1986年には、小学館の新しい漫画雑誌「ビッグコミック・スペリオール」の表紙イラストに22歳という若さで大抜擢されました。1989年には、静岡市制100周年記念イベント「SUNPU博'89」のマスコットキャラクター「スンピー」を制作し、イベントの成功に貢献したことから、静岡市長から感謝状を授与されました。

阪神淡路大震災の際には、プロ野球オールスター戦のチャリティーTシャツのデザインを手がけ、2012年には東日本大震災復興支援イベント「CHEER UP ILLUSTRATION PROJECT」に参加するなど、社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。また、坂井のアイデアとアドバイスがきっかけで、新日本プロレスで販売された選手グッズのTシャツが人気を博し、闘魂ショップがオープン。プロレスTシャツブーム、格闘技Tシャツブームへとつながる大きな流れを作りました。

坂井の作風は、キャラクターデザインの他に、多くの著名人の似顔絵を幅広く手掛けている点が特徴です。特にエアブラシを使用した立体感のあるイラストは、各界から高い評価を得ています。似顔絵を描き始めたきっかけは、小学6年生の時に苦手だったものを克服しようと、王貞治選手の絵を描いたことでした。現在ではCGの普及によりエアブラシ技法を用いる作家は世界的に減少しており、坂井自身も自身のことを「生きる化石」や「絶滅危惧種」と表現しています。

坂井の主な作品には、書籍「やすし・木久蔵の香港殴り込み珍道中」のカバーイラスト、ビッグコミックスペリオールの初代表紙イラスト、福岡ソフトバンクホークスのキャラクター「ハリー・ホーク」のデザイン、新日本プロレスの大会ポスターや選手グッズのデザイン、プロ野球選手、プロレスラー、芸能人の似顔絵などがあります。その他にも、テレビ番組「World Baseballエンタテイメント たまッチ！」のスタジオイラストや、「中居正広のプロ野球珍プレー好プレー大賞2016」の賞品デザイン、プロ野球パ・リーグオールスター東西対抗ポスター、静岡市制100周年マスコットキャラクター「スンピー」、静岡競輪場の旧マスコットキャラクター「ビッキー」、1998世界エイズキャンペーン（厚生省）ポスターなど、多岐にわたる分野で活躍しています。

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