坂元薫

坂元 薫（さかもと かおる）

精神科医、精神医学者。1956年11月5日、東京都に生まれる。気分障害や不安障害に関する臨床および研究の第一人者として、日本の精神医療界を牽引する存在です。現在は赤坂クリニックの院長、および同院の坂元薫うつ治療センター長を務めています。

略歴

栄光学園中学校・高等学校を卒業後、1982年に東京医科歯科大学医学部を卒業しました。その後、東京女子医科大学病院神経精神科で研鑽を積み、1984年に同大学の助手となります。1985年から1987年にかけては、旧西ドイツ政府の給費留学生としてボン大学病院精神科へ留学し、国際的な視点からの知見を得ました。帰国後の1989年には医学博士号を取得。東京女子医科大学病院では、1993年に神経精神科講師、1999年に助教授を経て、2007年には教授に就任し、長きにわたり教育・研究・臨床の最前線で活躍しました。2016年には赤坂クリニック内に坂元薫うつ治療センターを開設しセンター長に就任。2020年からは同クリニックの院長を務めています。

人物と診療哲学

幼少期より「人の役に立ちたい」という強い思いを持ち、中学3年生の時に医師になることを志しました。特に、東京女子医科大学病院や関連施設での長期にわたる治療経験は、現在の診療の礎となっています。患者さんと向き合う際には、「お辛い中で、よく当クリニックを訪ねてくださいました」という心からの共感を大切にし、患者さんの抱える悩みや苦しみ、恐怖や不安を深く理解することに努めています。気分障害および不安障害の臨床と研究に情熱を注ぎ、実践的な治療や基礎研究だけでなく、幅広い層に向けて心の病に関する正確な情報を発信する啓発活動にも尽力しています。

啓発活動と専門分野への貢献

最新の医学的知見に基づいた講演は、専門家から一般市民まで多くの人々から高い評価を得ており、その回数は約1300回に上ります。特に自殺予防対策を目的とした啓発活動に力を入れ、全国各地での講演を積極的に行っています。2018年9月には、全都道府県で5回以上の講演を行う「講演全国5周」を達成しました。2022年9月時点では「講演全国6周」まであとわずかに迫っていましたが、新型コロナウイルスの影響により活動に一時的な制約を受けていました。これらの活動を通じて、心の健康に関する社会全体の理解促進に大きく貢献しています。

私生活とエピソード

趣味はクラシック音楽鑑賞で、ショパン、ブラームス、チャイコフスキー、ラフマニノフ、マーラーなどを好みます。自身もピアノやチェロを演奏し、音楽に造詣が深いです。また、映画鑑賞も好み、『ボヘミアン・ラプソディ』を観て感動し涙したエピソードもあります。日課として、天候に関わらず毎朝5時に起床し、3〜4kmの早朝ランニングを欠かしません。国内外への出張時にもランニングを続け、訪れた土地の城を見物することを楽しみとしています。動物好きでもあり、「生まれ変わったら鳥のお医者さんになりたい」と語ることもあるそうです。

旧西ドイツ留学時代には、ボン大学病院での患者中心の温かい医療環境（医師の部屋での診察、患者がいつでも医師を訪ねられる雰囲気、ライン川沿いの美しい環境での散歩やお茶会など）に触れ、現在の医療観に大きな影響を与えています。

主な活動

学会役職等

NPO法人日本うつ気分障害協会（MDA-JAPAN）理事
日本うつ病学会評議員
日本不安症学会評議員
日本精神科診断学会評議員
日本ポジティブサイコロジー学会評議員
精神保健指定医
精神神経学会専門医・指導医
日本医師会認定産業医
医学博士

主な著書（単著・共著・監修など）

『気分障害の臨床 - エビデンスと経験 -』（星和書店、1999年、共著）
『非定型うつ病』（PHP研究所、2011年、監修）
『うつ病の誤解と偏見を斬る』（日本評論社、2014年、単著）
『そのからだの不調、ホントはうつですよ』（平凡社、2014年、単著）
『気分障害の臨床を語る - 変わること、変わらないこと -』（創元社、2018年、共著）

他にも多数の分担執筆や英文論文があり、学術的な貢献も多岐にわたります。

主なメディア出演

NHK教育『名医にQ』（2011年9月）
日本テレビ『世界一受けたい授業』（2014年2月22日、2020年6月13日）

これらの活動を通じて、精神疾患への理解を深め、多くの人々の心の健康向上に貢献し続けています。

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