坂口あさ

坂口あさ：徳島を彩った女性ジャーナリスト

坂口あさ（1891年6月7日 - 1983年5月6日）は、徳島県出身のジャーナリストであり、地方紙記者として地域社会に深く貢献した人物です。明治、大正、昭和と激動の時代を生き、ジャーナリズムの世界で独自の足跡を残しました。

生涯

1891年、坂口あさは徳島県に生を受けました。彼女がジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせたのは1920年（大正9年）、毎夕新聞に入社したことがきっかけでした。翌1921年（大正10年）には徳島新聞へ移籍し、1950年（昭和25年）まで約30年間、同社で記者として活躍しました。

徳島新聞在籍中の1948年（昭和23年）には、三田華子が創刊した「徳島婦人新聞」の発行を引き継ぎました。これは、女性の社会進出がまだ محدود的だった時代において、女性の視点に立った情報発信を継続したという点で、非常に意義深いものでした。

1975年には、長年の地域文化への貢献が認められ、黒田嘉一郎と共に第一回徳島県文化賞を受賞しました。これは、彼女の活動が地域社会に深く根ざし、多大な影響を与えていたことの証と言えるでしょう。

ジャーナリストとしての活動の傍ら、坂口あさは徳島県華道連盟委員長、徳島県文化協会理事などの要職を歴任し、文化振興にも尽力しました。1983年、91歳でその生涯を閉じましたが、彼女の残した功績は今もなお、徳島県民の心に深く刻まれています。

著書

坂口あさは、著書を通じて自身の経験や知識を後世に伝えました。

単著
『記者生活三十年』（1967年）：自身の記者生活を振り返り、ジャーナリズムの現場で得た経験や考察をまとめた一冊です。当時の社会情勢やジャーナリズムの役割について知る上で貴重な資料となっています。
共編著
飯田義資・林鼓浪・坂口あさ・小西英夫共 編『阿波の年中行事と習俗の研究』（県史編さん委員会、1961年）：阿波（徳島県）の伝統的な年中行事や習俗について詳細に解説した研究書です。地域の文化遺産を保存・継承する上で重要な役割を果たしています。
三田華子・坂口あさ共 編『春雷』（春雷会句集刊行会、1970年）：三田華子とともに編纂した句集です。

参考文献

坂口あさについてより深く知りたい場合は、以下の文献が参考になります。

『歴史を彩る 阿波の女たち』（1987年、阿波の女たち編集委員会編、徳島市民双書）：徳島県出身の女性たちの生涯を紹介した書籍で、坂口あさについても詳しく解説されています。

坂口あさは、ジャーナリストとして、また文化人として、徳島県の発展に大きく貢献しました。彼女の生涯は、地方におけるジャーナリズムの重要性、そして女性の社会進出の可能性を示唆するものとして、今後も語り継がれていくでしょう。

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